第15話 母が叔母を平手打ち

年末、母と祖父母の家にいたら、叔母と良子が岡山からきた。

大晦日、リビングで祖母、母、叔母、良子とテレビを見ていた。

「奈津のせいで、秀くんがここに来ない。私と可奈ちゃんが、テーマパークで酷いめに遭ったのも奈津のせい。他に行くところがないから、あんなところでも行くしかなかった。可奈ちゃんが風邪をひいた」

母が興奮していた。

「秀くんは、毎年友だちとスキーだって姉さんが言ってたよ」

叔母が、母に言った。

「違う、あんたのせいよ。斉藤一家のせいで、私たちは、不幸になる。謝れ」

母が、叔母の頬を叩いた。

「奈っちゃんに、なんてことをするの」祖母が、母の手を押さえた。

良子が、叔母の手をギュッと握って悲しそうな顔をしていた。

「お母さん、それ、違うよ」私は、母に言った。

母は、見たことがない位怖い顔をしていた。


元旦、「女ばかりだと静かだなあ」祖父が言った。

母と叔母は、ほとんど話をしなかった。

私は、良子と近くの神社へ行ったり、家であやとりをした。

予定では、4日に岡山に帰ることになっていたが、叔母と良子は、3日に「急用で」と、帰って行った。

「どうせ、お前が奈津に何かしたんだろう」

祖父が、母に言った。母は、知らん顔をしていた。


祖父母の家で、斉藤家族と会うことは、もうないかも知れないと思った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る