第11話 荷物をまとめなさい

1月3日お昼過ぎ、斉藤家族が来た。

「早く荷物をまとめなさい。あの一家が来た」

母が、小さな声で言った。私は、持ってきた物をバッグに詰めた。

「そんなに慌てなくてもいいじゃない」

祖母が言って、2階に上がった。

「騒々しい」

祖父が、不機嫌そうに下りてきた。


玄関が開いた。義叔父、和也、良子、叔母が入った。

義叔父が、両手いっぱいの荷物を置いた。

和也と良子が手を振ったので、私も手を振った。

「明けましておめでとうございます」

義叔父の後に3人が続いた。

「おめでとう」

祖父が言って頭を下げた。リビングに入った。

斉藤家族もリビングに入った。

「明けましておめでとうございます」

「はい」

義叔父の挨拶に母が答えた。

「なんだ、その無礼な態度は」

祖父が、母を怒鳴りつけた。

「可奈ちゃん、早く、早く、これ持って」

母が、玄関を出た。

「可奈ちゃん、またね」

和也と良子が手を振った。

私も手を振って、玄関を出た。


「お母さんが3日に来てって言ったから来たのに」

「正月早々ギャーギャー言うな」

祖父が、叔母を怒鳴りつけている声が聞こえた。


車の中で、母とあまり話さなかった。

すぐに家には帰らず、ファミレスで時間を潰した。

夜、家に着くと来客ひとりが帰るところだった。

母は、うつむいたまま自分の部屋に入った。

私も自分の部屋に入った。









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