第2話 幼少の頃の記憶

3歳の頃、ぼんやりとした記憶であるが、祖父母と私の家族、斉藤家族との10人で旅行をしている。

写真には、赤い屋根で白壁に黒の格子のヨーロッパ風の建物を背景に9人が写っている。写真は2種類あり、1つは斉藤の義叔父が撮ってくれたもので、もう1つは叔母が撮ってくれたものである。他にたくさんのスナップ写真がある。

叔母がダビングしてくれた、ビデオテープもあり、みんな楽しそうにしている。

祖父は斉藤家の和也といつも手をつないで嬉しそうに笑っている。

祖母は斉藤家の良子のベビーカーを押しながら、叔母と談笑している。

兄は父と並んでいて、私は母と一緒にいる。


5歳の時も、同じ10人で軽井沢に行った。その時の事は覚えている。

夕食後、義叔父がビンゴゲームを用意してくれていた。景品もあった。

祖父が、一番先にリーチになり喜んでいた。ビンゴに一番乗りの後も、「また、リーチだ」とはしゃぎ、連続ビンゴになった。

「もう、孫に譲ればいいのに。私は、部屋に戻るわ」

祖母が、出て行った。母は、祖母を追いかけた。

「すみません。ルールを変更します。ビンゴになった方は、外れて下さい」

「えっ?なんで?」

祖父が、不満そうに言った。

「すみません。すみません」

義叔父が、何度も謝っていた。

私は、鈴の付いたおもちゃが当たった。嬉しかった。

翌日、義叔父の車の後に父が運転する車でついて行って、あちこち旅行した。

一番楽しかったのは、良子とずっと一緒だったことだ。

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