第二章 ダンジョン配信
第15話 おっさん、ラッキーおっさんと呼ばれる
「凛、俺の上に乗ってくれ」
「また私にやられたいんですか?」
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童貞探索者 最近
俺の上にも乗ってくれ!
▶︎返信する
コネクリー 最近
コネクリ回してくれ!
▶︎返信する
鉄槌の大木 最近
俺の大木の上に……
▶︎返信する
廃人の女神 最近
はい! 皆さんアウトー!
▶︎返信する
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あれから自分の変化を記録するために、体を鍛える筋トレ配信をすることにした。錘として凛を使ったところ、ガチャ配信よりも視聴者とコメント数が増えた。
それでもコメントをくれる人達はいつも変態ばかりだ。
「今日はこれからダンジョンに行きますか?」
「ああ、やっと白色ランクまで上がったからな。次の更新までには銅色ランクまで上げておきたい」
あれから数日が経ち、ダンジョンに通って無事にランクを上げることができた。
銅色まで上げておけば、ランキングの更新時期になってもそのままの色で更新される。
ランクが下がるのは白色だけで、そこから引退の基準が再び再調整されて決まっていく。
稀に銅色から白に下がるが、それはポイントが一定の基準に達していない人のみだ。
腕立て伏せをしながら凛を持ち上げる。俺の体は少しずつ変わってきた。
鈍っていた体も少しずつ20年前に戻ってきたようだ。
凛の提案で手に入れたお金を使って新しい武器も購入した。
装備も昔のように戻りつつある。
「じゃあ、今度はガチャ配信をよろしくな」
筋トレが終わったと同時に生配信を終える。いつものように着替えて俺達はダンジョンに向かった。
♢
「おっ、ラッキーおっさん!」
「今日もガチャに並んでるのか?」
「俺も嫁が欲しいからな」
ギルドの中は、今日も嫁狙いでガチャに並んでいる人がたくさんいる。凛やアーティファクトの鞭が出てから、かなりガチャが話題になった。
それでもまだ凛みたいに人が出てきたり、アーティファクトを引き当てた人はいない。
そのため、俺はラッキーおっさんと呼ばれるようになった。
「今日も魔石でガチャをするのか?」
「その方がレアが出やすいからな」
俺の動画の視聴者が、ひょっとしたら魔石が影響しているのではないかって気づいた人が魔石を売らずにガチャの素材に使うことが増えた。
その結果、前の粗悪品ではない物が当たる回数が増えてきた。いつか本当に凛みたいな人が出てくる時が来るのだろう。
この間は魔石の属性に合った杖を手に入れた人もいるらしい。
あの当時のように、探索者のみんなが再びガチャにロマンを求めるようになり、ガチャ好きの俺にとっては仲間ができた感覚だ。
「今日は階層を変えてオークの討伐に行きますか?」
「そうだな。今日も周囲の警戒だけは頼むな」
「ええ」
俺は自分の実力を上げるために、凛に戦うことをさせていない。
凛が戦う時は、俺一人では対応出来なくなった時の援護か魔物を逃した時だけだ。
凛も凛なりにいつでも戦えるように、鞭の練習はしているらしい。そんな時が来ないように願うばかり。
「ちょっと行ってくる」
ダンジョンに着くと俺は早速魔物を狩っていく。その後ろを凛が付いてきて、ドロップ品を回収している。
装備を変えてから、昔の俺に近づいた気がする。それだけ装備は重要になってくる。
最近まで使っていた剣は安物のやつを毎日研いで使っていた。
包丁より少し切れる程度のやつで、よくやっていたと思う。
それだけ人生に対して生きる価値を失っていたのだろう。
現に再び凛と会うまでは、ダンジョンで死んでも良いと思っていた。
何かあって死んだらそれも運命なんだろうと。
凛が病気に勝てなかったのも運命。
運命には逆らえないと思っていた。
「ゴブリンの素材だけでも、二日分の収入はありそうですね」
次の階層へ移動するまでに出会ったゴブリンは全て狩ってドロップ品に変えていた。
次からは久々のオークとの対面だ。
凛と出会うきっかけになったハイオークにまた再び会えたら礼を伝えよう。
そう思いながら、俺は久しぶりに白色ランクが対象になる階層に移動した。
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