心霊トンネル

高校も3年になると徐々に車の免許をとる人もでてくる。

私のバイト先でも車の免許をとり、親の車をつかって遊びに行くケースが増えてきた。


ある日、バイト先の友人がドライブがてら、隣町にある心霊トンネルに行こうと盛り上がった。

夜10時になり、店の閉店後に5人で車に乗り込んだ。

しばらくあちこち走りやすい道をいき、さてそろそろトンネルに向かおうかとなった。

山の方に車を走らせ、いざトンネルの近くまで来たが、何人かがビビりはじめた。

結局今日は止めようかという話になり、トンネルを迂回する横道に車を進めた。

そちらからだと山の上の方に向かい、トンネルを通らずに隣町の町中に向かえるはずだった。

しかし私たちの乗った車は何故かトンネルに入った。

確実に迂回したはずなのに。


しかし、トンネルの中では特に何も起こらず、事故を起こすこともなく、無事に帰路についた。

順に家まで送っていき、私は2番目に車を降りた。

街頭の明かりが窓に当たる。

その窓に、ベッタリと手形がいっぱい付いていることに気付いてしまった。

しかし、まだ車に残っている奴もいるし、なにより一番の功労者である運転してる奴は家までその車で帰るのだ。

手形のことは言わずにいた。


だってガラスの厚みでわかるが、大量の手形が全部車の内側から付いていたのだから。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る