オーブと不思議な電車

まだ20代の頃。

ネットで知り合った仲間で百物語オフというのに出ていた。

会場は山手線から地下鉄で内側に入ったところ、幹線道路はあれど、普段は来る用事などない少し寂しい駅からさらに歩いたところだった。

公民館と言うよりかは、古い大きな家を貸し出し用にしたような建物で、襖を開け放ち20人を超えるほどの人数が車座になってもまだ余裕のある会場であった。


百物語ももう半分ほどきた頃だろうか、会場内にフワフワと白い玉がいくつも飛んでいることに気が付いた。

話の切れ目でその事を言うと、幾人かにはその何かが見えるようだった。

デジタルカメラで会場内を写してみると、そこにはしっかりとオーブと言われるものが写っていた。

そうか、オーブって言うものはてっきり写真や映像にしか現われないものかと思っていたが、こうやって実際に見ることができるのだなと知った。


こういったものは、怪談だったり百物語だったりの怪を語る事によって現れやすくなるのかもしれない。

会場の近くは地下鉄しか走っていないはずなのに、丑三つ時と言われる時間にすぐ近くで電車の走る音が1度だけ聞こえてきたのも、怪談に呼ばれてだったのかもしれない。

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