過去への迷子
近所を散歩中、普段通らない場所へと向かってみた。
小高い丘の下をトンネルが通っており、ちょうどそのトンネルの上あたりに行けないかと、緩い坂を登っていった。
どの瞬間に「そこ」に迷い込んだのかは分からなかった。
気付くと周りの風景は色を失い、セピア色の世界が広がっていた。
前方には、いつ頃建てられたものかもわからない、木造の廃墟が何軒も建っていた。
文字通り建っていただけであり、壁や扉は朽ちていた。
直感でここは現在ではないと理解した。
はるか昔に廃村となり、その昔の記憶の中にいると。
マズい、このままここに居てはこの世界に捕われてしまう、そう思い慌てて引き返した。
2分もすると景色に色が戻った。
後ろを振り返ると、そこには道などなかった。
私は一体どこに迷い込んでしまったのだろう。
二度とその廃墟を見つけることはできなかった。
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