厨二病につける薬なし

Y氏の霊視には頻繁に訪れるお客さんもいた。

ホストをしていたM君もその一人だった。

最初M君は「なんか最近調子良くないんすよねー、なんか変なモノとか憑いてたりして」なんて軽いノリで来始めた。

Y氏の霊視によると、近所の稲荷系の神社で悪さしたのが原因で神様というか悪神から怒りを買ったという事だった。

それを聞いたM君は「そういや夜中あそこの犬の像?それに我慢できなくておしっこしちゃった」と言い出す始末。

Y氏はまずはちゃんとその事を謝りに行くように伝えた。


翌週現れたM君は「その犬の奴、俺の子分にできないっすか?神様みたいなの子分にできたら俺最強だし」という。

Y氏は正直この時点でもうM君の事は諦めた。

というか、関わりを持ちたくないと思ったという。

それでも必死にM君に「そんな事は無理だ、人知を超えた者を人の身で好きに出来るわけない」と伝えたがなしの礫であった。


2週間ほどしてM君がまたやってきた。

「あいつどうしたら俺の子分にできんすか、マジで教えてくださいよ」と。

なにやら必死になってきている。

さらに翌週も同じようだったので、Y氏は少し詳しく話を聞くことにした。

そうすると、この3週間ほどで父親が亡くなり、兄は事故をおこし、下半身がだめになった。もう1人の兄が急に引きこもりになり、叔父も突然行方不明になったとの事。

全てがM君に起因するものかはわからないが、あまりに不幸続きではある。

そして母親も様子がおかしくなってきているとのこと。

「だから俺は神様を自分の子分にしないとだめなんだよ、そしたら俺だけは助かるから」と言ってきかない。

Y氏は限界だと思ったという。

M君に会うのはこれが最後になるだろうと。


その後、M君は所属するお店にも出勤していないらしい。

というか、この日の前からもう出てきていないようだった。


彼がどうなったのかは、全くわからないでいる。

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