呪いとお祓い
飲み屋街で知り合った女と付き合い始めた。
その飲み屋街のとあるお店のオーナーがその女を気に入っていて、相当な嫌がらせを受けていた。
あることないこと言いふらし、挙句「このお店であいつと一番仲いい子は誰?その子にあいつの事話す」なんていう異常とも思える嫉妬と嫌がらせだった。
ある日、その女を連れて私の家に帰ってきた時の事。
朝まで飲んでいたため、女はかなり寄っていた。
私はさっと汗だけでも流そうと思った。
女と少し離れた途端、耳のすぐ横から嫌がらせをしていた男の笑い声が聞こえた。
聞き間違えなどではなく、途中私の名前まで呼んだ上でさらに強い笑い声を上げた。
また、触れてもいないのにキッチンのシンクで皿のぶつかる音がガチャンガチャンとなり、ドアノブも捻られた。
覗き穴から外を見るが誰も居ない。
その間もその男の声が聞これてくる。
異常事態である。
どれかひとつだったなら気の所為で済ませるが、ここまできたら誤魔化すことも出来ない。
私は事情を女に話し家を出た。
その足で最寄りの神社へと向かったのである。
神社では神主さんがしっかり話を聞いてくれ、すぐにお祓いしましょうとなった。
祭壇のある部屋に通され、神主さんは決して目を開けないようにし、俯いてくださいというと祝詞をあげてくれた。
数分もすると部屋の空気が変わり、部屋の中に理解の範囲を超えた何かが居ることがわかった。
前方の祭壇から、神主さんの横をぬけ、私の背後を歩き始めた。
私と神主さんしか居なかったはずの空間に、しっかりと足音がなっていたのである。
感覚としては、大きな二足歩行の獣のような体格だったのではないかと感じた。
暫く私の後ろを歩き回り、祝詞が終わった時に背後から私の顔に顔を寄せてきたのがわかった。
「目を開けてください」と言われ、指示通りにすると、今まで気配のあった何かは、いなかった。
それ以降、嫌がらせをしてきた奴の声が家で聞こえることはなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます