狂気の血痕
この話については正直霊的なものだったのか、人怖な話だったのかわからずにいる。
自分自身がその相手を見ていないところが大きいが、聞く限りでは人怖だと思われるが、その後日談もないため、全くの謎である。
当時私はライブハウスで働いており、そこのバイト仲間の紹介で所謂長屋のようなタイプの物件に住み始めた。
家賃やとにかく安いが、トイレは共同だし、風呂などついているわけもなかった。
バイト仲間は1階の奥の方、私は2階の奥の方の部屋に住んでいた。
その日、私はライブハウスに出勤しており、同じ長屋に住んでいたバイト仲間は休みで家に居たとのこと。
彼が部屋にいると、扉をノックされた。
扉を開けるとそこにはゴスロリと言われるものに近い服装の、20代とも30代ともみえる女性がいたという。
髪はボサボサで顔の大半をそのボサボサの髪が覆っていた。
そしてさらに異常なのが、その女性、手首から血を流していたという。
そして彼女はボソボソとした口調で「どこ?どこ?どこ?」と繰り返していた。
バイト仲間は若干というか、相当社会不適合者側であり、ちょっとその様子のおかしい女を面白く感じたらしい。
そして彼はその女に私の部屋を教えたという。
何も知らずにライブハウスの仕事を終えて帰ってくると、玄関からあちこちに赤黒い染みが点々とついていた。
最初は住人の誰かが怪我でもしたのかと思っていたが、数日後にこの事実を聞かされた。
その後、その女が現れる事はなかったが、確かに血の跡は私の部屋の前まで続いていた。
その女が実在するのだとしたら、いったい何を求めあの長屋に現れたのだろうか。
そしてどこへ消えていったのだろうか。
その後も近所で徘徊しているのだとしたら目撃したり、噂になったりしそうだが、そのような話もなかった。
謎だけが残る出来事だった。
ちなみに血痕は暫く床に残ったままだった。
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