大きな白い犬

高校生の私の横では夜になるといつも大きな白い犬が寝ていた。

もちろん飼っているものでもなければ、現世で生きているものでもなかった。

そもそも体長が私の身長ほどもあるし、イメージとしてはネバーエンディングストーリーのファルコンのような姿だった。

ただ寝ようとすると隣でスピスピと寝息を立てて寝ているだけである。

嫌な感じは全くしない。

むしろ暖かさを感じるくらいだ。

自分の守護霊なのかなと思っていた。


ただ、その当時の私の部屋には、おそらくうちが住む前にその部屋で亡くなった方であろうおじいさんによる金縛りも頻発していた。

当時は事故物件の告知義務なんてものもなく、そこでおじいさんが亡くなったというのもご近所さんからの情報だった。

身体が動かなくなり、部屋の本棚と天井の隙間から顔が出てくる。

もういつもの事である。

でも、守護霊だと思いたい白い大きな犬だが、そんな状況でもいつも寝息を立てて気持ちよさそうに寝ていた。

助けを出すほどの危険はないと思われていたのか、そもそも守護なんでしてくれてない、ただの寝心地のいい場所だと思われていたのか。

なんとも心強さを感じられなかったが、不思議とその白い犬に対しては心休まるという感情しか湧かなかった。

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