死神がいた

小学生の頃、私たち家族は北海道の片田舎に住んでいた。

隣には叔父家族が住んでおり、うちとの間には石炭やコークスを仕舞っている倉庫への通路となっていた。

おじいちゃんの作った家で、リビングと部屋が2つ、石炭で沸かすお風呂というミニマムな家だったため、冬場の暖房はコークスを使っていた。

これが、秋口に火を付けたら春までその火を絶やさず、外がマイナス20度になろうが家中Tシャツで過ごせる暖かさである。


部屋が2つと書いたが、ひとつは姉の部屋、もうひとつが私と母の部屋となっていた。

私と母の部屋といいつつも、二段ベッドの上で母が寝るだけで、あと部屋としては私の部屋ではあった。

その部屋は叔父卓側に面しており、石炭などを運ぶ通路がベッド横の窓から見ることができた。

とはいえ北海道の家なので窓は二重、さらに内側は曇り窓になっているので実際にベッドから外を見ることなどはなかなかないのであるが。


小学生の私はこのベッドで寝る際に、何故か窓側を向いて寝ようとすると頭の中に強烈に死神の姿が浮かんだ。

ずっとそのまま窓側を向いていると死神が鎌を持ち上げてゆっくりこちらに近づいてくる。

ただの怖い想像だと思って、反対を向くと頭の中から死神がいなくなる。

しかしまた窓側を向くと死神が頭の中に現れるということが続いていた。


私が中学生の頃、大規模な町の区画整理があり私たち家族はその町を離れることとなった。

そして数年後、姉から聞かされた話に「私の友達の〇〇っていたでしょ?あの子すごい霊感強かったみたいで、あの頃の家の隣との間の通路がかなりヤバい霊道だったらしいよ。あっはっは」

私が見ていた死神はもしかしたらその霊感の交通員のような人だったのかもしれない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る