座敷童子さんとお茶とトイレ

うちの家族がまだ田舎に住んでいた頃の出来事。

小学校が終わりまだ子供だった私が家に帰ったら、茶の間のテーブルにお茶があった。

まだ湯気が立ち上る熱々のお茶だった。

母親かとも思ったが、出かけている。

もしかしたら隣町に住んでるおじいちゃんが来てお茶入れたのかもと思ったが、そうでもなかった。

また、お茶は熱々だったにも関わらず、やかんや急須を使ったような形跡もなかった。

うちの家族の間では座敷童子さんが居たんだねということで納得するようにした。


時は流れ、住まいも東京に移し、私も社会人となって数年が経ってのこと。

朝、姉に叩き起された。

「あんた、トイレ流さないまま寝たでしょ」

そんなわけはない。

なんのことだかもよくわからずに起こされトイレに連れていかれると、便器に便が流されずに残っていた。

小ならまだレバーをしっかりと回さずに流しきれずに残ってたなんてこともまだわかるが、さすがに大はしっかり流すのを確認する。

だから流し忘れるわけなどないのだ。

姉とそんな事を言い合ってた時に気が付いてしまった。

便器に便はあったが、拭いたであろうトイレットペーパーがなかったのである。

さすがに拭くことすら忘れるとかありえない。

さらにいうと私は大は朝にする派なのである。

結局この謎の便も10年ぶりに現れた座敷童子さんではないかと結論づけた。

どちらにしろ冤罪だったならば座敷童子さんには申し訳ないことこの上ない。

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