第6話(前編)地味眼鏡っ子は眼鏡を外すと美少女になりがち
「じゃあ丸野くぅん、脱いでもらおうかぁ!!」
「うぇ、えぇぇぇぇ!」
※メガネのことです。
事の発端は放課後。
キーボードを叩いていた先輩の手が止まる。今日はおしゃれなのか赤いフレームの伊達眼鏡装備。
「……なぁ後輩くん、どうして冴えないメガネ女子がメガネを外すと美少女になるんだい?」
「なんですかいきなり」
「メガネを掛けているだけで素質が隠れるものかねぇ」
「地味な子が実は……! ってギャップがいいんじゃないんですか、よく知りませんけど」
「じゃあ君はメガネを外したら美人の生徒を知っているのかね?」
知らない。そんなこと気にして生きてない。
……先輩は本当に変なことを気にするなぁ。
「おや、君ともあろうものが見る目がなくなったかな?」
「……なんのことです?」
「……まァいい。永井くんに連絡したまえ、該当する女子に目星をつけているかもしれないからねぇ」
先輩の予想は当たりだった。
『おぉ、それなら図書委員の丸野かなー。俺の目は誤魔化されないぜッ!』
なぜそんなことを知っているのかに関しては、敢えて聞かなかった。好奇心はなんとやらである。
丸野さんはボクと同じ一年生らしい。
「そうと決まれば話は早い! 後輩くぅん、図書室へ出陣だ!」
「ちょ、先輩⁈」
思い立ったらダッシュな先輩を追って、校舎最上階にある図書室へ。
閑静な本の世界をぶち破るように、先輩は入り口を開けた。
「丸野くんはいるかぁ〜い⁉︎」
「ひ、ひぇ〜」
大量の本棚が並ぶ中、受付の少女がひとり、本に顔を隠している。
おずおずと出てきた顔は度の強いメガネなのか目が小さく見える。おさげをふたつ左右に飾り、実に模範的な格好である。
よく言えば控えめ、悪く言えば芋っぽい。THE・イモ。
この時代に現存していたのかと思うほどレトロを帯びている。
「君、結構失礼なこと考えるよねぇ」
「率直な感想と言ってください」
またこの人はモノローグに侵入してら。
しかし、先輩の提言通りだとすればものすごい素質ということになるが……
「あ、あのぉ……わたしに何か?」
「丸野くん、だったねぇ? こんにちは、私は文芸部の人間でね。少しいいかな?」
若干どもりながら丸野さんは先輩に頷く。本人である言質を取ると、先輩の目の色が変わった。
「じゃあ丸野くぅん、脱いでもらおうかぁ!!」
「うぇ、えぇぇぇぇ!」
カウンター越しに飛びかかった先輩が丸野さんへ抱きつく。見ようによってはガールズラブかもね。
「その汚されていない身体の秘密を解き明かそうじゃぁないか!」
「い、いやぁ〜〜〜〜〜」
声は嫌がってるかもだけど……
丸野さん、満更でもなさそう。
「メガネ、取ったりぃっ〜!」
天高く掲げられた丸野さんの
違う。
「あ、あのぉ〜メガネ返してくださぁい」
FLASH!!
丸野さんが、輝いている!
まばゆい光に視界が覆われとても目を開けていられない。
「後輩くぅん、掛けたまえ!」
先輩、ナイスサングラス。
「こ、これは…………っ!」
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