第2話 生徒会の権力は強いらしい
生徒会室。
対面にいる生徒会長のメガネが光る。
「ふむ……部長がそれなりに結果を残しているなら良しとしよう。以後も励むように」
「は、はい……」
部活動の活動実態について生徒会に報告することになった放課後。肝心の先輩はというと、隣にいなかった。
それは部室に戻ったらわかるわけで……
◇ ◇ ◇
「んぅ〜放課後のコーヒーは格別だねぇ」
「そのうちカフェイン中毒になりますよ」
文芸部、部室内。
数畳の面積には机は2つ、革張りの高めなソファがひとつ。本棚には資料がいっぱい。
どうして部室にポットがあるのか、どこから持ってきたインスタントコーヒーなのか……
少なくとも、先輩のポケットマネーでないことは確かだ。この人割とケチだし。
「倹約家と言ってもらいたいねぇ」
「モノローグにツッコみはルール違反すよ」
生徒会には先輩の書いた何かが何かの賞に選ばれたとかなんとか言ったら解放された。元々先方も知っていたようだけど、『報告をした』ということが大事とのこと。
なお、当の本人である先輩が来ないのは分かっていたらしい。つまりボクは、生贄にされたのだ。
「そもそも、どうして生徒会に部活の報告するんですかね」
「さてねぇ〜、生徒会が偉そうなのは紀元前からだし」
んなこたぁない。
「まるで自分たちが支配してると言わんばかりだからねぇ」
「なんで生徒会って偉いんでしたっけ?」
「実績のある生徒が仕切っているからだろう? 文武両道に加え、学内外問わず精力的に活動して実績を出した結果、生徒の代表として教師や理事会とも対等な関係だからねぇ」
起業した生徒もいるとかいないとか。
そう言いつつ、先輩は二杯目のコーヒーを、たっぷりの砂糖と共に作り始める。
「まァいいじゃぁないか。彼、彼女らのお陰で適当に部活を作っても実績さえあれば認められるんだから」
「先輩も十分すごいですよ」
「おやおや! 持ち上げるねぇ〜」
「すごいですから、ボクにもコーヒー作ってください」
「本心はそっちかァ〜」
生徒会といえば偉い。
生徒会といえばなんか権力がすごい。
他の学校は知らないけど、この知識は、なぜかぼんやりと、しかし確実に脳内に保管されているのだ。
そう、ボクらはカタにハマってる。
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