第021話 冬也の変な趣味①

 カロル族長の部屋。


「妖怪が言葉を話していた。」


「僕も鬼と戦ったけど確かに言葉を話していたよ。」


「それは真か。」


 カロル族長が言葉を話した事に驚くと黙り込み何かを考えはじめた。


「私も空に上がった時に妖怪達を見ていたけど何か話していたわ。」


 彩奈も目撃していたようだ。


「じゃあ妖怪は魔族という事なの?」


「イエナ、それは早計だ。可能性はあるかもしれないが妖怪はそもそも元が魔物だったのかも分からない。」


 避難所に戻ってきた俺達は各々休養をとっていた。

 俺は天幕のベッドに寝ころびながら封印されていた祠を発見した翌日の話を思い出し考えていた。


 妖怪が魔族だという可能性について。

 カロル族長は『魔族は魔物から進化した存在』と言っていた。


 もし妖怪が魔族だとすると地球にも魔物が存在していないとおかしい。

 それに地球で魔素またはそれに近い何かが存在すると聞いたことが無い。


 だから当然、魔物と呼ばれる化け物も存在していなかったし魔法も使えなかった・・・。

 いや、決めつけるのは良くないか。


 本当に地球には魔物が存在していなかったのだろうか。

 魔物を地球の生物に当てはめていくが該当する生物はいない。


 もう少し考える範囲を広げて突拍子が無いモノを考えてみる。

 地球上で存在する生物から存在するかもしれない生物に思考を巡らせる。


 そういえば昔、父さんがTVの事で何か言っていたな。

 え~と、なんだっけな。


 昔はツチノコや湖の恐竜を目撃した特集番組がTVで流れていたとか。

 異界変災が起きる前のTVでは珍しい動物の特集はよく見かけていたけど、UMA未確認生物の特集番組を見る機会はあまりなかった。


 UMAの目撃談の全てとは言わないが一部魔物の目撃談だったのなら・・・。


「魔物自体は存在していたのかもしれないな。」


 天井を見上げながらつぶやく。

 頻繁に目撃されるだけの数がいなかっただけで魔物自体が存在していた可能性は大いにあり得る。


 魔物の存在がバレないようにカバーストーリーを作り世の中から遠ざけていたのかもしれない。

 自分なりの考えをまとめてテーブルに置いてあったお菓子と水に手を伸ばす。


「ふぅ、色々考えて頭が疲れたな。シャワーを浴びに行くか。」


 気分転換に簡易シャワールームへと向かう。

 仮設浴場の隣にある個室の簡易シャワールームに入ると体に違和感を感じる。


 備え付けてあった鏡を見た俺は自分の姿に衝撃を受ける。


「猫耳・・・だと。」


 鏡の中に猫耳を付けた自分が居たのだ。

 何だ、この可愛くない生き物は・・・。


「恥ずかしい以前に・・・きつい。」


 自分の猫耳姿を見るって結構きつい、そっ閉じしたくなる。

 って、そんな事を言っている場合じゃない!


 身体が縮み始めている!?

 とりあえず、シャワールームに閉じ込められる前に出ないと!!


 ドアの鍵を解除してドアを開こうするが開かない。


「このタイミングで建付けが悪くなったのか!?」


 ここに閉じ込められるなんて冗談じゃない!?

 下手したら建付けのせいで鍵がかかっていると勘違いして何時間もここに閉じ込められる可能性がある。


 ガチャガチャと音を鳴らしドアを開こうとするがやはり開かない。

 その間にも体は縮んでいく。


 もう時間が無い!体当たりだ!

 バンっと音と共にドアが開くと俺は外へと飛び出して地面に転がる。


 酷い目にあった・・・。


「子猫?」


「にゃ~。」(え?)


 頭上から聞こえて来る声に顔を上げるとそこには巨人・・・ではなく大人が見下ろしていた。

 自身の体に起きた変化を確認する。


 目線が地面と近い!手も足も猫に!それに髭も付いている!?


「にゃ~~~!」(子猫になっている!)


「あ!見てみて子猫がいる!」


 避難所の子供達が俺に指を指して向かってくる。

 とにかく今は自分の天幕に戻って、それから落ち着いて考えよう。


「あ、逃げたぞ!追いかけろ!」


「にゃにゃ~!」(追いかけて来るな~!)


 俺は子供達から逃げるように走り出した。

 何でこんなことに!?


「どこいった?」


 子供達から逃げ回っていると急に自分の周りに影ができる。


 今度はなんだ?


 見上げると重たそうな荷物を運んでいる人が近づいてきた。

 この人荷物で足元が見えてない!?


「うわわっ。」


 荷物の重さにバランスを崩し足もとがふらつく。


「にゃ~~~~!」(踏みつぶされる~~!!)


 咄嗟にたまたま隙間が出来ていた天幕の中へと入り込み圧死を回避する。


 あぶなかった、正直死ぬかと思った・・・。


 落ち着け俺、何でこんなことになったんだ?誰かに魔法をかけられたのか?


 俺は天幕の物陰に隠れながら原因を考える。


 お昼頃に起きてからそのままベッドで考え事をしていたから特に変わったことはしていない。

 その後は・・・。水とお菓子を食べたな。


 そこで俺はハッ!?とした。


 なんとなく食べたけど、あれは誰が用意したお菓子だったんだ?

 師匠・・・は出かけていない。


 彩奈とフィエールさんならお菓子を持ってくるかもしれないが声も掛けずに置きっぱなしにするとは考えにくい。


 という事は、まさか冬也が行商人から買ったやつなのか、あれ?


 最悪だ!!

 俺は得体のしれない物を口に入れたという事じゃないか!


 冬也には昔から変な趣味がある。

 出かけた先で「それどこで売っていたんだ?」と聞きたくなるような変な物を買ってくるのだ。


 初めは舌の色が変わるお菓子から始まったのだが冬也は行き着く所まで行き着いた。


 完全に油断した。

 誰かの魔法の仕業じゃなければ間違いなくあのお菓子のせいだ。


 もし冬也が買ってきたお菓子ならずっとこのままという事はないだろうが行商人もこんなお菓子を売るなよなぁ・・・。


「にゃ~。にゃ?」(はぁ、これからどうするかな・・・。ん?)


 ため息をついていると誰かが天幕に入ってきた。


 ここで生活している人か?

 気づかれる前に入ってきた隙間から出ていこうとすると話し声が聞こえてきた。


「今夜できそうか?」


「えぇ、準備は概ね出来ていますぜ。」


 何をするつもりだ?


 出ていこうとしたが話の内容が気になったので留まることにした。


 話している人物は誰だ?

 少し顔を出して素顔を確かめると小型の魔石を商品として扱う腹が出た行商人がいた。


 あれはデルゼーと仲が悪いジブソンじゃないか。


 と言っても学武国家に商会があるデルゼーを一方的に目の敵にしているだけなのでデルゼー自体は相手にしていない。

 ジブソンと話している相手の顔は見えないが左耳に赤と緑の宝石らしき石がそれぞれ付いた2つのピアスをしている。


「一定の間隔で箱を置きましたけど、あれは何ですかい?」


「あれは共鳴の効果が刻まれた魔石だ。お前が設置した箱の魔石は出来が悪いのか不良品でな、効果元になる気絶のルーンなどを発動させても波長が合わず効果が増大しない。」


「意味ないじゃないですか。」


 きな臭い話になりそうだな。


「普通ならな。だが、ここにある眠りの魔石は別だ。」


「これは?」


 ピアスの男はジブソンが取り出した魔石を覗き込む。


「これも不良品だが設置した共鳴の魔石と波長が合うだけではなく通常の眠りの効果よりも深く眠らせることが出来る。一つ一つは不良品だが偶然によって生まれた効果だ。」


「へぇ、そりゃ凄い。調べられても不良品だから怪しまれないってことですかい。」


 ピアスの男は卑俗な笑みを浮かべる。


「頂くのは珍しい品とエルフですかい?後ガキども数人。」


「あぁ、子供は変態貴族に高く売れる。エルフは言わずもがな。」


「目が覚めた時には行方知れずって訳ですか。」


 こいつら、ふざけやがって。

 ジブソン達の会話に怒りを覚えて歯を食いしばる。


「誰だ!!」


 こいつらの身勝手な言動に気が立って気づかれたか。

 仕方ない一か八かで出て行ってみるか・・・。


「にゃ~、にゃ~。」


「こんな所に猫?始末しますかい?」


 ピアスの男はナイフの先を俺に向ける。


「放っておけ、子供が騒いでいた猫だろう。この避難所には血の匂いに敏感な奴もいる。今騒ぎを起こすのは面倒だ。」


 ジブソンの言葉にピアスの男はナイフを片付け俺を天幕の外へと投げ捨てた。


 今この体で暴れても仕方ない、それに他にも仲間がいるはずだ。

 誰かに知らせないと。


 取り押させたい気持ちを抑えて元に戻ることを優先することにした。

 踏まれないように気を付けながら隅を歩いていると突然後ろから持ち上げられる。


「にゃ~。」(誰だ?)


 振り向くとフィエールさんの顔がそこにあった。

 丁度いいフィエールさんに知らせれば自警団もすぐに動いてくれるはずだ。


「可愛い子猫ですね。どこから入ってきたのでしょうか?」


 フィエールさんは俺を抱き寄せて撫でているが顔を胸に押し付けられて呼吸が出来ない。


 あのフィエールさん、その抱き方だと呼吸が・・・。


 頭の中でエマージェンシーと危険信号が鳴り響きジタバタとフィエールさんの腕の中で暴れる。


「あ、ごめんなさい。苦しかったですね。」


「にゃ・・・。」(永眠する所した。)


 そんな事を言っている場合じゃない。


「にゃ~、にゃ~。」(フィエールさん気づいてくれ!俺だ、霧島継だ。)


 バタバタと前足を動かしてアピールする。


「何ですか~?なでなで。」


 首を傾げて俺の頭をなでる。


 くすぐったいからやめてくれ。


 アピールを続けるが子猫の姿だと全然伝わらない。

 諦めて撫でられていると突然フィエールさんの瞳の光がスッと消える。


「私の世界には君の模様と似た美味しい魔物が居るんですよ~。知っていますか~?」


(!?)


 猫に何を言っているんだ、このエルフは・・・。


「にゃにゃにゃにゃにゃ!!」(やばい!逃げなきゃ!)


「冗談です、冗談ですよ。」


 腕の中で暴れて脱出するとフィエールさんの瞳に光が戻る。


「冗談だったんですけど、怖がらせてしまいました。」


(本当に冗談ですよね?フィエールさん・・・。)


 フィエールさんと別れた後自分の天幕に戻るが誰も居なかったのでベッドの上でぼ~っとする事にした。

 試しに字を書こうと挑戦したが見事に失敗した。


 この姿じゃどうにもならない。

 効果が切れるまでじっとしている方が安全かもしれないな。


 しばらくぼ~っとしていると彩奈が天幕の中に入ってきた。


「誰も居ないなんて珍しい。」


 彩奈はテーブルに近づきお菓子に目をやってから天幕の中を見渡す。

 すると、彩奈と目が合った。


「あっ。子猫だ、可愛い!アメリカン・ショートヘアかな?」


 そういうと彩奈は俺に近づいてきた。


 彩奈もか。

 あきらめの境地で受入れ態勢を整える俺。


 彩奈は俺の目の前で立ち止まり天幕内に誰も居ないことを再度確かめた。


「居ないね・・・。」


 そんなに確認しなくてもここには俺しかいないけど?

 しゃがみ込んだ彩奈は意を決して顔が近づけてきた。


 そして・・・。


「にゃ、にゃ~。」


 恥ずかしそうに彩奈は鳴きマネをした。


 お、おう。


 唐突な鳴きマネに俺の脳はフリーズした。

 そんな俺の気も知らずに彩奈は俺の頭に手を伸ばす。


「私の名前は彩にゃんっていうにゃ~ん。よろしくにゃん。」


 俺の頭をなでながら微笑んで挨拶する彩にゃん。

 どうやら俺が知っている彩奈は存在せずここにいるのは『宮代彩にゃん』のようだ。


「変な虫を食べちゃダメですからね~。」


 食べるか!


「肉球ぷにぷに~。この感触このままずっと触っていたいなぁ。」


 彩奈の顔はルルとララを見た時みたいに緩んでいる。

 その後も鳴きマネをしながら猫の手で軽く顔をつつき俺を抱きかかえる。


「にゃ~ん。」

「にゃ~、にゃ~。にゃん?」(いい加減、顔をつつくのをやめてくれないか。ん?)


 彩奈に抱かれていると体が光り出した。


「えっ、なに?」


 彩奈は何が起こっているのか理解できず俺をベッドの上に戻す。

 光りの中で俺の姿は猫から人間へと戻り元の姿へと戻ることが出来た。


「戻った!最悪猫として生きていく覚悟をしなくちゃいけないと思っていたけど無事に戻れて良かった。・・・あっ。」


 元の姿に戻れた喜びで彩奈の存在を忘れていた。


「あ、彩にゃん?」


 猫の鳴きマネを見られていたことが恥ずかしかったのか顔を真っ赤にしながら拳を震わしている。


「いっ。」


「いっ?」


「いっやああああああああああ!!」


「炎が纏ったグーパンはまずいって!ぐえぇえ。」


 思いっきり殴られた俺は隣の天幕まで殴り飛ばされる。


「うおおお!どこからか人が飛んで来た!」


「ご迷惑かけます、ガクッ。」


 突然飛んで来た俺を見た隣人は腰を抜かすほど仰天していた。


 ◇


 深夜、闇に紛れて動き出すジブソン達。


「私は馬車の用意をしておくからお前達は攫ってこい。」


 ジブソンは結界境界線付近に用意していた馬車の前で眠りのルーンが刻まれた魔石をピアスの男に渡す。


「任せてください。」


 と眠りの魔石をポンポンと手元で軽く投げて意気揚々と手下を連れて仕事に取り掛かる。

 しかし、しばらくするとジブソンは異変に気付いた。


 手下どもが一人も帰ってこないのだ。


「何をモタモタしている!早くしないと。」


「早くしないとどうなるのですか、ジブソンさん。」


「誰だ!」


 道の陰から月光りに照らされた自警団副代表のフィエールが現れる。


「これは、これは、フィエールさま。こんな夜更けにどうしてこのような所に?」


 ジブソンはなるべく平静を取り繕いながら会話を進める。


「ジブソンさんもこんな夜更けに何をしているのですか?」


「私はただ馬車の様子が気になりまして様子見に来たんですよ。」


 フィエールはジブソンと会話をしながら1歩1歩距離を詰める。

 ジブソンはフィエールの静かな振る舞いに恐怖を感じ逃げたい気持ちになっていた。


「私はてっきり誰かを待っていたのかと思っていました。」


「私がこんな夜更けに誰を待つというのですか?」


「そうですね・・・。例えば、こんな人たちはどうでしょうか?」


 フィエールが片手を上げると路地から自警団である俺達がピアスの男を含めた全ての部下を捕まえて連れてくる。

 その光景にジブソンの顔が真っ青になった。


「どうしました?ジブソンさん顔色が悪いですよ?まさかと思いますがこの人達の事をご存知・・・とか?」


「知らない!私hそんな奴ら知らない!証拠はあるか証拠は!」


 自分の置かれた状況に呂律が回らなくなるジブソン。


 こいつ、この期に及んでまだ白を切る気か。

 だったら。


「証人なら居るぞ、ジブソン。」


「なっ!嘘だ!そんな奴は居ない!」


 ジブソンがわめき散らずが無視して設置してあった箱を見せながら話を始める。


「お前はそこのピアスの男に避難所の天幕でこの箱についてこう言ったんだ。『お前が設置した箱の魔石は出来が悪いのか不良品でな、効果元になる気絶のルーンなどを発動させても波長が合わず効果が増大しない』と。そして、この眠りの魔石については『これも不良品だが設置した共鳴の魔石と波長が合うだけではなく通常の眠りの効果よりも深く眠らせることが出来る。一つ一つは不良品だが偶然によって生まれた効果だ』と言った。」


「嘘だ!」


 本当に往生際が悪い。


「天幕の中で子猫を見なかった?」


「子猫・・・?まさか・・・お前。」


 俺の言葉にジブソンは言葉を失う。


「心当たりがあるみたいだな。あの時の子猫は俺だよ。仲間の変わった趣味で猫になっていたんだ。お前が変に慎重だったお陰であの時は死なずに済んだよ。」


「くそ!」


 言い逃れが出来ないと悟ったジブソンは馬車を走らせて逃亡を図る。

 しかし、ジブソンの前にフィエールさんが立ちはだかった。


「エア・トルネード!」


 魔法を発動させたフィエールさんはジブソンを馬車ごと空へと舞い上げた。


「うわっくそ、身動きが。」


 浮遊感の中で藻掻くジブソン。

 しかし、その浮遊感が急に止まると今度は落下し始めた。


 フィエールが魔法を止めたのだ。


「うわあああ。たす、助けてくれぇぇぇ!」


 落ちて来るジブソンを睨みつけながらフィエールは叫ぶ。


「ジブソン!あなたはエルフだけではなく何の罪も無い子供達をも売り飛ばそうとした!己の罪をまだ認めないのならばそのまま落ちて死になさい!」


「わた、私は!」


 ジブソンの覚悟が決まらずモタついている間も地面が近づいてくる。


「わかった!認める。全部認めるから助けてくれ!!」


「結構です。」


 フィエールが再度エア・トルネードを唱えてジブソンを着地させる。


「た、助かった・・・。」


「さて、それはどうでしょうか?」


 フィエールはジブソンに意地悪に伝える。


「どういう意味だ?」


「彼らもあなたに怒っているみたいですよ?」


 フィエールが向けた視線の先には行商人達が大勢いた。


「これはどういう事だ!?」


 状況を理解できないジブソン。


「簡単な話ですよ。あなたが仕出かしたことで今後彼らの商品を厳しく取り締まることになりました。当然持ち込み禁止の物も増えます。売上が落ちてしまいますね。」


「ジブソン!てめぇ、余計なことしやがって!大目に見てもらっていた物もあったんだぞ、この野郎が!」


 行商人達の怒りの鉄拳がジブソンへと飛ぶ。


「やめ、ぐごっ。悪かった!ぐへっ。」


「黙れ!この屑が!人身売買するようなやつは商人の恥だ!」


 行商人達にボコボコにされるジブソン。

 普段なら止める行為だが今回は皆見て見ぬふりをする。


 拘束したジブソン達を子供が多い学武国家に送るよりは聖都の牢屋に送る方が色んな意味で安全だと判断され聖都に連行される事になった。

 聖都で然るべき裁きを受けることになるだろう。


「これで一件落着だな。」


「それはそうとして、どうして継はテーブルのお菓子を食べたの?メモを置いておいたんだけど『このお菓子は一人で食べないように』って。」


「そんなメモがあったのか?」


「あったよ?私も見たから間違いないよ。」


 彩奈という証人が現れたため俺の不注意ということで子猫変身事件は幕を閉じた。


 解せぬ。

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