再会。そして~。
どこからか、微かに声が聞こえる。
(お母さん?)
「……」
(だれ? もうあたし、眠りたいのに)
呼ぶ声が、再び襲って来た睡魔を少しだけ押し留める。
「……」
ほほに一滴、何かがあたる。
(なんだろう。あったかい雫)
「ティナ」
(うそ、いるわけないよ。だって)
深い森の中。だからよけい、これは夢なのだと思える。
「かないで。いかないでよぉ」
優しく、懐かしい声。ラティナの心にゆっくりと染み渡る。
「ティナ、ラティナ!」
「あっ」
精一杯の力でゆっくりと目を開けた先に、ゆがんだリーンの顔があった。いままで泣いていただろう表情が歓喜に変わる。柔らかいリーンの膝の上に乗せられていたラティナの顔を、リーンが両腕でぎゅっと抱き締める。
「良かった。良かったぁ」
ふと足に手が触れた。ラティナは包帯が右太ももに巻かれている事を知った。ずきずきと感じているのは、まだ、生きている証だった。傷のせいで発熱しているせいか、ラティナは考えが上手くまとまらない。
「どうやって?」
抱き締められていた頭が解放される。リーンの顔に笑みがあふれる。
「私くらい、飛べる様にしてよね」
その言葉でラティナはなんとか理解できた。リーンが必死に自分を飛んで探してくれた事に。
「うんっ」
小さくても喜びに満ちているその声は、森に響く事なく消えていった。
その後。
さまざまな場所で時折ピクシーが突然墜落するという事件が起きていた。しかし、仲の良い二人のピクシーによって助けられたせいかあまりこの噂は広まる事がなかった。
****************
ここまでお付き合いくださいまして、ありがとうございます。この後のお話はレラート・デ・ニンファ外伝として、このままここに連載予定です。ですが、一話一話の間隔を3~4日開けようと思っています。
追記:レラート・デ・ニンファ外伝、リーンの日記1~3が終わったら本編に合流するべく、ラティナとリーンのお話の続きをUPし始めます。更新頻度はやはり3~4日に1エピソードを予定。
ありがとうございました。
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