第27話 ダンジョン踏破耐久配信 1/4

(配信だ!!)

(今日は……ダンジョン配信だ!!)

(タイトルをよく見ろ!! 耐久配信だ!!)

(しかも……ダンジョン踏破耐久配信!?)

(つまり……ダンジョンを踏破するまで、配信を終わらないってことか!?)

(スゲェ!! 楽しみだ!!)


 ダンジョンに足を踏み入れると同時に、配信を開始した。画面の向こう側からは、たちまち多くのコメントが飛び交い始め、コメント欄は一気に活気に満ちた。視聴者たちの熱量が画面越しにも伝わってくるようだった。


 この反応を見て、俺の予想は的中したと実感した。耐久配信という形式が、明らかに視聴者の好奇心を刺激し、彼らを魅了しているのだ。最近、さまざまな動画や他のクリエイターの配信を観て、様々な手法やコンテンツについて学んだ。それらの勉強が今、実を結んでいる。


 ダンジョンの奥深くを探検する中で、俺は様々な障害や敵に遭遇し、それらを乗り越えていく。視聴者たちは、その一挙手一投足を見守り、応援やアドバイス、時には冗談を交えたコメントを送り続けていた。この相互作用が、配信の魅力をさらに高めるのだと俺は考えた。


 耐久配信の醍醐味は、ただ長時間にわたって行うこと自体にあるのではなく、その過程で視聴者との絆を深め、共に挑戦を楽しむことにある。俺の配信活動において、学んだことを活かし、常に新しい試みを導入することの重要性を再認識した瞬間だった。


「スゴい……これがダンジョン……!!」


 カメラをしっかりと手に持ちながら、楠木さんは配信を妨げないほどの控えめな声で感動を露わにしていた。燭台が照らし出すその先に広がるのは、冷たい岩肌に覆われた通路だった。若干の湿気を帯び、どことなく重厚な雰囲気が漂う。洞窟らしい、どこか神秘的で暗い雰囲気が空間全体を包んでいるにも関わらず、楠木さんの目は興奮で輝いていた。


彼女のその反応を目の当たりにして、俺は思わず笑みをこぼしてしまった。ダンジョンという場所が持つ、未知への挑戦や冒険の楽しさが、人々に喜びを提供する。楠木さんがこうして楽しんでいるのも、その魅力に引き込まれたからに違いない。


この冒険において、楠木さんの純粋な反応は、俺たちの配信が視聴者にとっても同じような感動や楽しさを提供していることを示している。ダンジョンの奥深くに潜む未知との対峙は、ただ単にゲームをプレイする以上のものを俺たちにもたらしていた。楠木さんの輝く目が、その全てを物語っていた。


「さぁみなさん、今日は告知通りダンジョン踏破耐久配信ですよ!!」


(SNSでの呟き見たぞ!!)

(今日の配信、マジで楽しみにしてたんだ!!)

(ダンジョンの謎、解き明かしてくれ!!)

(↑え、そういうのなのか?)

(普通にダンジョンを踏破するだけでも、楽しみだ!! スーパープレイを見せてくれ!!)


 単純に配信を楽しみにしていた者。

 ダンジョンの踏破により、何かしらダンジョンの謎が解明できると考えている者。

 スーパープレイを望む者。


 何を楽しみにしているかは視聴者それぞれだが、何はともあれ凄まじい人気を博している。既に同接は20万人を超えており、世界ランキングでも上位に君臨している。スパチャも飛ぶように流れていき、その額は1000万を超えている。


「ありがとうみんな、今日は最高の配信を届けるよ!!」


(楽しみだ!! 投げ銭!!)

(俺も投げ銭!! 親のクレカ使って!!)

(俺も!! 親に怒られるかもだけど、知ったことか!!)

(借金100万円してきたw 投げ銭!!)

(↑いや、それは……マズくね?)

(本人がいいんだったら、いいんだろ)


 投げ銭がもらえるのはありがたいが、流石に親のクレカや借金してまで投げ銭はしてほしくない。その旨を伝えるも、さらに投げ銭は加速していった。俺が何を言っても、おそらく無駄なのだろう。


 若干道徳が欠けつつあるが、仕方ない。

 少し不安になりながら、俺はダンジョン攻略を開始した。楠木さんも、同様に不安を抱えている様子だ。

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