たまたま発見した『魔法書』のおかげで、世界で唯一の魔法師になりました 〜ダンジョン配信や制裁配信をした結果、アホほどバズりました〜

第18話 ドロップアイテム

（今回の宝箱の中身は何なんだろうな！！）

（牛糞とかじゃないか？）

（ゲームで一番ガッカリするやつだwww）

（いや、一番は重複した装備だろ。既に所持しているアイテムがもう一度出ることほど、残念なことはないぞ。特に非売品とかだったら、その残念度は多いな）

（間違いないわねwww）

　コメント欄では大喜利が開始している。

　実際に重複する装備、つまりカットラスが出たら……かなり残念だな。だが現実ではそれ以上に、牛糞などが出現する方が残念だが。

　期待を込めて、宝箱を確認する。

　以前開封したソレとは違い、より豪華な装飾で彩られている。縁は赤色であり、木の部分にはワックスが塗られているようだ。これは……期待が高まるな。

「では……開封します！！」

（鬼が出るか蛇が出るか！！）

（↑逆ゥウウウウウウウウウ！！）

（逆でもないだろ）

（楽しみだ！！　何が待ち受けてるんだろうな！！）

（牛糞！！　牛糞！！　牛糞！！）

（重複！！　重複！！　重複！！）

　宝箱を開く。

　そこには──

「……ネックレス？」

　牛骨をあしらった、中々に悪趣味なネックレスが収まっていた。紐部分は背骨を模ったようにビッシリと白い骨が並んでおり、如何にも呪術師が使いそうなデザインだ。

（え、怖……）

（超カッコいいじゃん！！）

（中二の息子が大興奮しています）

（ごめん、マジで悪趣味すぎない？）

　コメント欄の反応は、綺麗に２つに分かれている。ちなみに俺は悪趣味だと思う側だ。

「とりあえず、装備してみるか？」

　ネックレスを首に付ける。

　その瞬間、全身に力が漲ってきた。

「お、おぉお！！」

　凄まじい万能感だ。

　今だったら比類なき怪力で、何でもできそうだ。それほどまでに力が漲ってくる。

【アイテム名：魔牛骨のネックレス】

【効果：筋力上昇】

　その時、目の前にウィンドウが出現した。

　どうやらこのネックレスに関しての説明のようで、筋力が向上するアイテムのようだ。シンプルな効果だが、それ故に普通に強い。

【クエストをクリアしました】

【報酬：状態異常無効】

　タイミングを同じくして、新たなウィンドウが出現した。状態異常無効、つまり……これで毒や麻痺になることはないということだろう。

「……状態異常攻撃を使う敵なんて、いなかったけれどな」

（え、何だって？）

（主さん、声小さいかも）

（そういえば、悪趣味なネックレスの効果は何だったの？）

（悪趣味じゃなくて、イカすデザインな）

（中2病炙り出しネックレスだ！！）

　そうだ、ネックレスの説明をしないとな。

「このネックレスは筋力が向上するネックレスみたいだ。着けた瞬間から、パワーがみなぎってくるよ」

（シンプルイズパワーじゃん！！）

（↑の人はシンプルに強いと言っています）

（マジかよ！！　最強かよ！！）

（単純な能力こそ、至高なんだよな）

　コメント欄は大盛況だ。

　だが、そろそろ終わらないとな。

「さて、今回の配信はここまでです。次の配信を楽しみにね！！」

（お疲れ様でした！！）

（お疲れ様でした！！）

（お疲れ様でした！！）

（お疲れ様でした！！）

　そして俺は配信を閉じ、出現した鉄扉から帰還した。

◆　◇　◆　◇　◆　◇　◆

「登録者数……200万人突破！！」

　スマホの画面を見ながら、ニヤニヤが止まらない。画面を更新するたびに、登録者数が増えるからだ。ついさっき、大台の200万人を突破したからだ。

　テレビで引っ張りだこの大人気アイドルでも、登録者数200万人は一ヶ月弱はかかっていた。それを俺はたった数日で成し遂げたのだ。日本最速記録を叩き出したのだ。

「スパチャもバンバン飛び交うし、最高だな！！　昨日の配信だけで1億円以上も稼げたし、マジで神だろ！！」

　たった数日で、サラリーマンの生涯収入以上の額を稼ぐことができた。つい数日前までは底辺道まっしぐらだった俺が、こんなに勝ち組になれたんだ。こんな嬉しいことはない。

「この調子で今後も稼ごう！！」

　そんな風に意気込んでいると、スマホに1つのメッセージが届いた。俺は友達がいないため、ほとんど通知もメッセージも来ないのだが……何だろうか？

「DM……？」

　そこに届いていたのは、俺あてのダイレクトメッセージだった。これほど有名になってもDMがまるで届かないことが不審だったが、ようやくDMが届いたようだ。

「……え？」

　DMを開いた時、思わず困惑の声が漏れた。

　なんたって、その内容が──

「『私を助けて』だって？」

　救済を求める声だったからだ。