第6.5話
デートの終わりが見えてきたことによって、現実に引き戻されたのだろう。駅から家までの道のりがやけに短く思えてしまう。クリスマスイヴだというのに、駅前とは違って家路は静寂に満ちていた。
段々と見慣れた家が立ち並んでくる。あと数分もすれば家に着いてしまう状況に
強く握りすぎていないだろうか。
そんな
「なぁ、
「え、うん。暇……だよ」
「それなら明日も会わないか? 何するか考えてないけどさ、明日も
「あはは、
「うっせ。悪いかよ」
「悪いとは言ってないじゃん。私は誘われて嬉しかったよ」
――だから気付かなかったのだろうか。いつの間にか
あぁ、死ぬんだな。
死ぬことに対する恐怖がないからか、はたまた死の恐怖を知らないからか。思考だけは嫌なほど冷静だった。息は止まり、ただ眺めることしかできない体とは大違いだ。
ヘッドライトの光にやられて目を閉ざす。その瞬間、まるで地面がなくなったかのように世界がぐにゃりと歪んだように感じた。
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