第4.5話

 昨日よりも激しい雨の中、なんとか智也ともや明人あきとは昇降口まで辿り着いた。秋の雨はとにかく冷たい。夏のような蒸し暑さはないが、その分手足が凍るほど冷えてしまった。


 濡れた靴下は靴と共に下駄箱に入れて、裸足のまま上履きに履き替える。そうでもしないと今日一日をやってられない。帰りは……その時の自分がどうにかするはずだ。


 それよりも濡れた制服のズボンが問題だった。濡れた長ズボンほど気持ち悪いものはない。かといって、替えは当然あるはずもなく、今日は体操着すらない。


 つまり、乾くまでこの辛さに耐えないといけないのだ。


「ズボン気持ち悪い」

「二日連続雨はガチで勘弁してほしいよな」


 お互い、雨に対する愚痴を言い合って教室へ入る。雨のせいか、はたまた来週から期末テストだからか、教室で騒いでる人がいなかった。


 席へ荷物を預けて隣を見る。しかし誰も座っていない。というより、荷物すら置かれていなかった。


 この前のように寝坊したのだろうか。いつもはいるはずの時間にいないのは、何かと違和感を覚える。


 どうせそのうち来る。そう思っていたが予鈴、本鈴が鳴っても未来みらいは姿を現さなかった。

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