第10話 厄介な重圧
――――――
【個人ギルド:太陽と月】
それがルナの仕事だ。
僕たちの住んでいるこの島がまだ発展途中の時、島の各地から仕事を受ける組織があった。それがギルドと呼ばれる組織だ。しかしその組織も今では解体されたが、この時代にルナが個人で立ち上げた。
仕事の依頼を受け、それをこなし報酬をもらう。らしい。
僕自身ルナの部屋にあった1世代前の漫画などを読んで知っただけで、ギルドといものを詳しく知る訳ではない。
僕はルナから任された仕事を居候先である彼女の家で励んでいる。
「あと2匹、頑張りますか」
僕が頼まれた仕事は、「とあるゲームにおける最初のエリアで、パーティーモンスターを3体のレベルをマックスにすること」
少し休憩したのち僕は、ゲームの液晶に目を落とす。
~3日後~
頼まれていた仕事を無事終わらせた僕は、依頼人に報告する。依頼料を受け取り、仕事が終わる。
数日ゲームをやり込んだせいで疲労した目を労わるよう温めたタオルを被せ、ソファの上で横になる。
「はい。それでは失礼いたします。」
「灯くん。灯くん!」
部屋の窓際で電話をしていたルナが、電話を終えたのか?素早く2回僕の名前を呼ぶ。
「…はい。なんですか」
「仕事にいくよー!」
ソファから頬り出されている僕の手がルナに掴まれ、そのまま引っ張られ形で僕は外へと出た。
ルナの勢いに押されたのか?気力が戻ったのか?僕の身体も足も駐車場に着くころには、ピシッと地面の上で立っていた。
ルナが自身のデバイスで、車の鍵を開錠する。彼女に続くように僕も車へ乗り込んだ。
シートベルトに手を掛けつつ僕は、ルナに今回の依頼内容を聞いた。
「ルナ、何の依頼?」
「今回の依頼は、護衛だよ」
護衛…?護衛ってあれか。人の命を守る仕事のことか?
頭を悩まされる僕の隣でルナは、車のアクセルに足を掛け始めた。
ブロロロー!
車内に聞こえるほどのエンジン音が鳴り響く。
ルナの運転の元、車は走り出した。運転をしたままルナは、依頼の説明を続ける。
「依頼してきたのは、とある芸能プロダクション」
「依頼内容は、そのプロダクションに所属している1人の少女を守ること」
「詳しいことは、向こうで依頼人から内容を聞くから」
「…了解」
ルナの説明に納得する。がこれから受ける仕事が護衛という事に僕の気持ちは少し後ろ向きだ。
そんな僕の気持ちなんて知らないままルナの運転する車は、島の東で彼女の自宅がある
町に入ってから少しして、有料駐車場にルナが車を止める。
「着いたよー」
車のエンジンを切り、シートベルトを外すルナ。彼女の言葉を耳にして僕もシートベルトを外し、車から降りる。
降りてすぐ高い建物が僕の視界に入り込んだ。壁に貼られたプレートに視線を送るとプレートには、【総合ビル】と書かれているようだった。
「あれ?」
ビルを指差しルナに確認する。
僕が指差したほうをルナが目を送ると、そのすぐあと彼女から「そうだよ」と返って来た。
車に鍵をかけ、「行くよー」と言い前を歩くルナの後を僕の足が進み始める。
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