第8話 喫茶店の黒き華
【
アストレアさんに手を引かれ僕は、その店に足を踏み入れた。
店に入ると「「いらっしゃいませ!」」と言う複数人の声が響いた。
店内は、茶色をメインにした内装で席はカウンターとテーブルの2つに分かれている。落ち着きのある静かなBGMが流れていて、今はカウンター席に何人かお客さんがいるだけで混んでいるようでは無かった。
入口で立ち止まっている僕らにカウンター内からエプロンを来た男性が近づいてきた。
「いらっしゃいませ!ルナさん」
「こんにちわ!
僕らに声をかけてきたその男性は、アストレアさんのことを名前で呼ぶ。彼女もその声に返事する。
名前を呼び合うってことは、知り合いなのか?
頭に?を浮かべる僕の隣でアストレアと男性が言葉を
お互いに話すことを言い終えたのか?やがてアストレアが僕のことを男性に紹介し始めた。
男性の視線がアストレアから僕に向く。
「初めまして。
一礼する白花さんに、遅れて僕も「
「それでは席にご案内します」
挨拶を終えると僕とアストレアは、白花さんに店内奥のテーブル席へと案内された。
テーブル席で僕は、アストレアと対面する形で椅子に腰を下ろした。案内を終えた白花さんは、そのあいだに一度カウンター内へと戻っていった。その後すぐ片手にお盆を持ち、僕らのいるテーブルに再度来た。
お盆から水の入ったコップとおしぼりが2つテーブルに置かれる。
白花さんは、それらを並べ手に持っていたお盆を脇に挟むみエプロンからペンと紙を取り出した。
「それではご注文をお伺いします」
「私はいつもの!」
「いつものっと」
注文を聞く白花さんに対してアストレアが速攻で答える。
僕はメニュー表を見て、最初に目に入った【当店!特製オムライス】をお願いした。
白花さんが、注文された品名を復唱しながら紙に書いていく。
「コーヒーは食前と食後。どちらに致しましょう?」
「食後で」
「かしこまりました」
そう言いながら紙に注文を書き終えた白花さんは、一礼してカウンターのほうへと戻っていった。
はぁ~。
疲れからか?僕の口から少しのため息が零れる。
「へぇ~君が灯くんか。かわいいね」
一息つこうとコップに手を伸ばした時、耳元で僕の名前を呼ぶ声がした。
急に名前を呼ばれビックリした僕は、その声のほうに視線を送った。視線の先には、白花さんと同じエプロンをした黒髪の女性の姿があった。
「よっ!ルナ」
「やっほー!
黒髪の女性がアストレアとハイタッチする。
アストレアと少しのコミュニケーションをするその女性。彼女の視線がやがて僕のほうに向く。
「こんにちわ海道くん。あたしは
僕に手を伸ばす華さん。
彼女の手を掴み握手する。
短く整えられた黒髪。店のエプロンをキッチリと着て立つ彼女の姿が、僕の眼にはかっこよく映っていた。
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