第3話 切符
コンコンコンッと、誰かが部屋の扉を3回鳴らした。音に反応した僕は、鳴った扉のほうに視線を向ける。ゆっくりと部屋の扉が、開いていく。扉は半開きになり、部屋の外から一人が顔を出した。
「失礼しま~す」
声と共に部屋に顔を出したのは、女性だった。彼女は、キョロキョロと部屋のあたりを見渡していた。やがて部屋にあるたった1つのベットの上で座っていた僕とその部屋に訪れた彼女の目が合う。
「あ、!おはよう!」
「…おはようござます」
元気よく僕に挨拶し、部屋へと入ってくる彼女。そんな彼女に僕も遅れて挨拶をする。
部屋に入って来た彼女の姿が、僕の目に映った。
肩先まで伸びた白い髪。その髪に
彼女は部屋へと入り、僕のいるベットの傍に置かれていた椅子に、腰を掛けた。
「気分はどう?
「まぁまぁかな?」
「そっか。なら、良かった!」
僕の返答に彼女が笑みを見せる。
僕は、彼女に尋ねた。
「ねぇ、君は誰?どうして僕の名前を知ってるの⁉」
白髪の女性。
彼女は誰なのか?
僕の問に彼女が返す。
「私は、ルナ。ルナ=アストレア」
「……アストレア」
彼女の名前を知ったが、その名前に該当する者は、僕の記憶には無かった。考えている僕にルナは、続けた。
「ここが病院だってことは、分かるよね。君の名前は、そこに書いてあるからだよ」
そう言いながらアストレアは、僕が座っているベットの枕元の柵を指差した。僕は、彼女が差すほうに目を向ける。ベットの柵。そこには確かに僕の名前が記載されていた。
(……なんで⁉)
「アス…、」
コンコンコンッ!
アストレアへの質問を続けようとした時だった。また誰かが部屋の扉を叩いてきた。
なんで?こんなタイミングで⁉
僕は、これから彼女に『僕を助けたことについて』聞こうしたのに!でも扉を叩く音に対して、僕はとっさに「はい!どうぞ」と答えいた。
僕が返事をした後、扉がすぐにゆっくりと開いた。
「失礼します。海道さん」
部屋に現れたのは、先ほどの看護師だった。
「検査のご用意ができましたので、お伝えに参りました。」
「あ、はい」
「では参りましょう。お連れの方もご一緒に」
検査に向かうためベットから降りた僕はアストレアと共に、その看護師について行き検査室へと向かった。
検査室に入ってすぐ僕は、楕円型のカプセルの機器に
検査室内には、様々な
検査室では、僕のいる検査スペースと現在看護師とアストレアがいる観察スペースが、ガラス板で分けられていた。
看護師のいる観察スペースで準備ができたらしく。カプセル内にあるスピーカーから「準備が出来ましたので、始めていきます」看護師の声が聞こえてくる。検査が始まり、カプセル内のスピーカーから「息を吸う・吐く・止める」それぞれの指示を聞こえて来た。僕は、指示に従いながら検査を受けていく。カプセル内では、赤や青色の横に長い光の線が、僕の身体を上下に行き来し、スキャンしていく。
「息を吸う・吐く・止める」これらの指示を2・3回ほど繰り返すこと約十数分。僕の入ったカプセルから停止音が鳴り、カプセルがゆっくりと開いていく。
カプセルから降りた僕は、アストレアたちがいる観察スペースのほうへ行った。
「お疲れ様です海道さん。以上で検査は終了になります。結果が出るまで、しばし部屋で待機していてください」
「分かりました。戻ろうアストレアさん」
看護師にそう言われた僕は、アストレアと共に指示通り先ほどの部屋に戻ることにした。
「あ、!お連れ様は少し残っていただけますか?」
「!、分かりました。ごめん
「…分かった。部屋で待ってるよ」
なんでアストレアが?僕のことを助けたから保護者代わりなのか?よく分かんないけど、ここで僕も残っても話は進まないと感じた。
僕は、アストレアを残して検査室を後にした。
・・・・・・
「彼を払うってことは、何か分かったの?
「ええそうよ。月のほうの女神さん」
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