Ep.22"薬漬け"
今日も元気にログイン。
昨晩はほぼ徹夜みたいなデスマーチだったから学校の奴らからはぎょっとされた。おのれアイミーさんめ、許さん。
気を取り直して、本日は昨日の続きである傷薬の改良である。茎を取り除けばいいと教えてもらったので早速試してみる。うん。……確かに苦味は昨日に比べると激減した。しかし苦み成分が減って薬効成分が顔を出してきたのか薬の味がするようになった。草味の薬とは誰が飲みたいのだろうか? 草も薬も苦手な人は多いだろうに。まあ、草の味がしなくなったらあと一息だな。
とりあえず草味を無くすとこから始めよう。昨日と比べるとましになっただけで主張はしてるからな。茎の次は葉脈を除いてみるか。まずは主脈だけとる。お、少しマイルドになった。側脈をとると、あんま変わらないか? いや、こうしたら……。
――六時間後。
で、できた。これは完璧な薬だ!! 草の味がしない!! って別にこれがゴールじゃないんだよな。ここから味をつけるんだ。目指せジュース。
てかさっきから目の端でちかちかしてるのは何だ? うっとおしいな。
ってHPやば! レッドゾーンじゃん! なんでだ! ログ!
――――――――――――
《ログ》
Real Time:6月15日
Game Time:6月15日
急性薬物中毒によりステータスが半減します
急性薬物中毒により混乱、錯乱、視野狭窄、麻痺(微)、味覚異常、脱力、狂化の状態異常が付与されます
急性薬物中毒によりスリップダメージ(1/20s)が与えられます
【治癒体質】により麻痺(微)、脱力から回復します
急性薬物中毒により麻痺(微)が付与されます
【治癒体質】により狂化から回復します
急性薬物中毒により……
【治癒体質】により……
・
・
・
――――――――――――
っスゥ―――――。やっべぇ。あ、死ぬ。
≪称号【薬漬け】を獲得しました≫
≪スキル【血薬】を獲得しました≫
はいリスポン。やっちまいましたわ。まさか薬で死ぬとは思わなんだ。飲み過ぎには注意が必要だな。用量は守る。これ大事。
ただこれのおかげで【治癒体質】のレベルががⅢからⅥに大幅に上がった。嫌な上がり方だなあ。
ま、やっちまったことは仕方ない。続きをやるかと思ったのだが薬物拒絶の状態異常になっていた。しかも一定時間が経つまで回復しないらしい。
ということで、もう夜だが兎狩りをすることにする。その前にステータスをチェックしよう。
――――――――――
PN:小魚K
種族:人間
Lv:18
HP:105
MP:105
STR:30
INT:11
VIT:19
MIN:1
AGI:1
DEX:50
LUC:25
SP:35
スキル
【生産LvⅥ】――【火種の養育者】【路の刻み手】【武具の癒し手】
【跳躍LvⅢ】――【ハイジャンプ】
【変装LvⅢ】
【念力LvⅠ】
【治癒体質LvⅥ】
【短命LvⅠ】
【植物知識】
【鉱物知識】
【魔獣知識】
【短剣LvⅣ】――【スラッシュ】【スティング】
【灯火の詩LvⅢ】
【カウンターLvⅢ】――【アッパーカウンター】
【迷宮感覚】
【鋭敏な手先Lv.Ⅱ】
【伐採Lv.Ⅱ】
【危機察知Lv.Ⅱ】
【血薬】
称号
【薄命】
【クリエスタ王国所属職人見習い】
【王妹殿下のお気に入り】
【薬漬け】
――――――――――
SPも溜まってるし、見たことないスキルとか称号も増えてるやんけ。
―――――――――
称号
【薬漬け】
薬転じて毒と成る。
傷薬でとるとは思わなかったよw。By運営
≪獲得条件≫
回復アイテムの過剰摂取により死亡する。
≪報酬≫
無し。
―――――――――
―――――――――
スキル
【血薬】
スキル保有者の血液は過剰摂取した薬と同じ効果を持つ。パッシブスキル。
≪効果≫
HP回復(3/200㎖)
CT:40s
―――――――――
つまり俺の血傷薬ってこと? これはこれで飲みたくないな。ん? もしかしてこれって飲まなくても効果発揮するやつか? だとしたらかなり使えるのだが。試してみよう。
「【短命】【それは儚き二十の光】」
こんな使われ方してかわいそうな【短命】くん。仕方ない。諦めてくれ。
うさぎさんに攻撃を叩き込み効果を終了させる。HPは回復しない。もうしばらく待ってみる。何も起こらない。血を流してみようにも普通に切るとポリゴンが散らばるだけだ。アイテムとして血を手に入れられるわけでもないし、しばらくはお蔵入りだな。だがこの検証でレベルが上がった。
うーん。それにしてもうさぎさんも手ごたえ無くなってきたなぁ。そろそろ次の街を目指すか。
とりあえずHPも残り少ないし休憩を兼ねておやつにしよう。今日のおやつはこちら。お餅である。テレビでお餅特集を見て無性に食べたくなったので買ってきた。砂糖醤油、きなこ、磯辺焼きの三種類を用意した。それじゃ、いただきます。まずは磯辺焼きから。
その時だった。大きな影が月を隠した。それは大きな土埃を巻き上げ着地すると俺の手からお餅を奪い去った。土埃が晴れ、視界が開ける。
それは白かった。
それは大きかった。
それは長い耳を持っていた。
それは杵を携えていた。
それは
《草原の主“
《インスタントフィールドへ移動します》
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