第二話:能力が発現した
異世界に転生したと思ったら赤ちゃんになっていた。神様が「年齢はどうなるかわからないよ。」って言っていたがそこまで極端か?とは思ったが、なってしまったものはもうどうしようもない。周りを見た感じ生まれたのは病院では無さそう。なんなら母と父だけではなく召使いのような人が数人、出産担当の人のような人が二人いた。おそらく家だろう。めちゃくちゃ豪華だ。結構地位が高い家系なんだろうか。とりあえずこの姿からだがあたらしい人生の幕開けだ。
とはいっても、実際やってることは前世で赤ちゃんだったときとそうたいして変わらない。でも一つだけ違う。私は転生するときに「時間を操る力が欲しい」って神様に言った。だから1歳くらいになったときにそれが出来るか試してみた。結果はできなかった。
そうしてそれから能力が使えぬまま約5年が経過し、私は6歳になった。前世なら義務教育がなんたらかんたらで小学校にぶち込まれる時期だが、聞いた話によればこの世界では12歳からだそうだ。そんな時期になったある日の夕食の時、母がある話をし始めた。
「そろそろ、サキにもこの話をしておかないとね。」
「んー?何の話?」
「私たちの家の話よ。私たちノルン家一族はね、昔から時間を操る能力に長けていたの。そのおかげもあってか、昔から一族は、『時間を司る神様の末裔の一族』として、結構この国で貴族として生活してる。家が大きかったり、召使いの人が沢山いたりするのはそのおかげよ。まあ、これらのことはそこまで重要じゃないから聞き逃してくれても構わないわ。」
まずは私の生まれた家、ノルン家の話だった。まあ母がそこまで重要じゃないって言ってるくらいだし、頭の片隅に入れておくくらいでいいか。
話はまだ続いた。
「無駄話が少し長くなったわね。ここからが本題よ。さっき私たちは時間を操る能力に長けているって言ったでしょ?でもサキはまだその能力が使えない。昔は私もそうだったわ。実はこの能力が発現するのは大体5~7歳くらいなの。つまり、サキはもういつ発現してもおかしくない状況なの。だからこの話をしたわ。」
これまで能力が使えなかった理由がはっきりした。そもそも、今の私くらいの年齢にならないと能力が発現しないようだ。話はまだ続いた。
「まだ続きがあるわ。この能力、とても強力で私たち一族以外ではほかに他の国のところのクロス家一族くらいしか使えない能力なの。でもその強さゆえか、人によってその能力の強さは異なる。時間を止めたり圧縮したり、加速したり巻き戻したりなんでもできる人もいれば、逆に小さなものを止めるくらいしかできない人もいる。サキはどうなるのかしら。うまく強めに発現してくれるといいわね。でもそこまで気に掛けることでもないわ。この世界全体に言えることなんだけど、最初に発現した能力が弱くても頑張って特訓すればめちゃくちゃに強くすることだってできるわ。例えば、炎の能力の一族で、ろうそくの火くらいの火しかつけれない人がいたわ。でも、その人は必死に特訓して、巨大な火柱をあげたり、爆発させて魔物を一掃したりできるところまで行ったわ。だから、もしサキに能力が弱めに発現しても、私は強力に使えるように手伝うわ。」
どう転んでも特訓すれば強力な技にできるそうだ。そういう話をしていた時、
「あっ!!!」
手が滑ってテーブルの上のティーカップが落ちてしまった。その時だった。
キーンと甲高い音がしたと思ったら、落下しているはずのティーカップがその場で浮遊していた。私は母が何かしたのだろうと思った。
「お母さんなにかした?あれ?お母さん?」
「ついにね。ついにこの日がやってきたのね!」
「え?」
「あなたにも能力が発現したのよ!!!」
唐突だった。あまりにも唐突だった。ついに私にも能力が発現したのだった。
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