第17話 突入
宇宙空間。
奥に恒星が強い光を放っている。
目の前には画像で見た白い惑星が佇んでいる。音の無い世界なのに雲の流れが目に見えて今にも、轟轟と聞こえてきそうだった。
「各班、状況報告」崎・クワトロの声が聞こえた。
「2班異常なし」
「3班異常なし」
「第4班異常なしです」
「5班異常なしよ」
「6班異常なしっス」
左右に等間隔で同じ補給船と護衛ポッド2機編成が集まってきていた。
「思ってたよりハンパなくデカいっスね」
「画像は全体像だからな、距離感が違うだろう。ガハハハ」
「よく見ると雲に切れ間が見えるから地表に光が届かないって事はないみたいだな。チティリ、晴れの日もあるみたいだぞ(笑)」
「ほぼ曇りじゃないですか!」
各々の感想が飛び交う中。
「予定通り、プランAとしてフォードが単機突入してワームホールを繋ぐ。いけそうか?」崎・クワトロが全員に通信を開いて伝える。
「やるしかないだろうな。突入するタイミングを見るから5分くれ」
「あぁ、任せる」
「無理しないで下さい」
「頼んまス」
「頑張ってね」
各々の声が聞こえる。
「プランBもあるんですか?」ヨン・ノレイが隣の五ノ前に質問した。
「すっごい安全運転で突入する」
「そっちではダメなんですか?」
「6日位かかる上に、成功率はちょっと上がる位かな」
「・・・・・なるほど」
「四川、気流のデータを見せてくれ」開始前に頼んでおいたデータを要求した。
「分かりました。映します」
時折渦を巻いている色の付いた線と矢印が惑星を覆っている四川から送られた気流のデータが目の前に広がった。
「真っ赤なんですけど」所々、黄色が見える位で白かった惑星が赤い矢印で埋め尽くされていた。
「・・・・・テサラ。勢いを付けて行くから、突入する手前でエンジンの出力を中燃焼にして俺に渡してくれ。あとは合図したら【凧】を出す用意だけして操縦は俺に任せてくれるか?」途中で指示を出す余裕が無さそうだから打ち合わせをしておく事にした。
「【凧】?」
「【カイト】の事だ」
「了解しました」
「ノレイさんも心の準備はいいですか?」
「はっはい、あたしはいつでも大丈夫です」
「上等です」結構肝が据わっているのかな?
補給船から前面に撃ち出されたカプセルが数メートル先で停止した。
「チティリとフォイドは待機、ワームホールが開いたら入って来てくれ」
『了解』
「助走を付けるから一旦下がるぞ」
十分な速度を出す為に補給船を後退させた俺は「四川、記録の方は頼むぞ」
「準備OKです」
「第2班 補給船 突入します」エンジンを全開にして加速しながら惑星に向かう。
必要速度になったので「テサラ、出力を中に」
「了解、ユーハブコントロール」テサラは操縦稈を放した。
「アイハブコントール」
補給船が勢いよく雲の中に突っ込んでいった。
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