第16話 発進

ノレイ・ツヴァイをNo.2のブースへ案内して班のメンバーに紹介した。

ちなみに、ヨン・ノレイとノレイ・ツヴァイは近親者とかではないらしい。ただ、似た名前なだけだそうだ。


「配置はオペレーターが四川・補給船の操縦に俺とテサラ・護衛ポッド2機にそれぞれチティリとフォイド。そして、いつもなら補給船の補助作業員に五ノ前なんだが今回はノレイ・ツヴァイさんに入ってもらう」

「あたしですか!?何もお役に立てませんよ?」来たばかりで名前が挙がった事におどおどしている。

「雲を突っ切るなんて今回だけですから、あなたはあなたの仕事をして下さい。気象学者さん、データより自分で見た方が得る物もあるでしょ?」成功するか分からない上に、成功したとして もう一度やってくれ なんて言われてもできそうにないからだ。

「ヨン・ノレイは指示があるまで待機。質問は五ノ前にしなさい」

全員に指示を出して各自配置に着く。

四川はパソコン前に。

俺・テサラ・チティリ・フォイド・ノレイ(ツヴァイ)は簡易ユナイテッドバースに深く座る。

五ノ前がヨン・ノレイに指示をしながら全員に白いカバーを被せて行く。

「準備良し」五ノ前から四川に合図が飛ぶ。

「ダイブ開始します」

五ノ前と四川の声が聞こえた後、機械音と一緒に視界が暗くなった。


目を開けると補給船の操縦席に座っている。自分の両手を見て指を動かす。次は両足、首を左右に動かして、左には操縦席に座っているテサラの姿が見える。向こうもこちらに合図を送った。後部座席を覗くとノレイ・ツヴァイが自身と周りをキョロキョロ見回している。

「ノレイさん、聞こえますか?」

「はっはい、聞こえます」

「何かおかしく感じる事はありますか?体が動かないとか目が見えないとか」

「大丈夫です。これ本当はロボットなんですよね?」

「そうですよ。分かりやすく視覚情報に俺達の姿をトレースしてるんです」

「チティリ、フォイドは異常あるか?」ここにはいない二人に通信で確認をする。

補給船の正面に金属の球体がグルグル回りながらウロチョロしている。

「チティリ問題なし。良好です」

「フォイド、異常なしです」

ヨン・ノレイの質問にあった通り、二人は護衛ポッドそのものになっている。

「四川は聞こえるか?」

「皆さんの声、ちゃんと聞こえてますよ。状態異常も確認できません。いつでもどうぞ」

準備確認が整ったので

「第2班発進するぞ」

格納庫の扉が重々しく開いて宇宙が見えた。

補給船を先頭に護衛ポッドが飛び出た。

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