第13話 自己紹介
「!?ああそうだね。皆、今日から新しく入った・・・」課長が女性に自己紹介をと促す。
「ヨン・ノレイです。実地作業は一週間という事で、皆さんと直接会える内に様々な事を教わりたいと思っています。よろしくお願いします」話題を逸らすのに成功した。というか真面目そうな人だ。
「それじゃぁフォード山岡君。君の班で面倒を見てくれるかな?」
「承知しました」返事をする前から課長はヨン・ノレイを俺の横に行くように促して、彼女も俺の横に立って課長と向き合う形になった。
「では今日から一週間、補給作業に入ってもらう。事前調査で対象惑星には水が豊富だそうだ。これはニュースでもやっていたね。ただ厚い雲に覆われていて気流がすごい乱れているという事。その為、第一段階としては雲を抜けてワームホールを設置する。これを済ませないと補給作業に入れない。そして、補給作業に並行して研究チームによる作業も入るから協力してあげて欲しい。では、入ってきてくれるかな?」奥のドアから、いかにもインテリって感じの男性が一人入ってきた。
「皆さんと一週間、作業に同行させて頂きます研究チームの代表 カトル霧島です。皆さんには各班に研究員を二人づつ、ご一緒させて頂きます。邪魔はしない様に致しますが、我々にとっても滅多にない機会ですのでご協力のほどをお願い致します」軽く頭を下げて、起こす。
「うん、では作業開始は2時間後位になるかな?各班は準備しておいてね。霧島君も各ブースに案内するからメンバーとの顔合わせを済ませておいてね。では解散」
課長の締めの言葉で俺達は会議室を出て一階の各担当ブースに戻っていく。
「〈D区の43階層にスイーツ店がオープンしたんだよぉ〉って言ってくると思ったら、まさか笹瀬ファンだったとは」階段を下りながら誰かが課長の話し出しの予想が外れた事を明かした。
「甘党なのは皆知ってるからなぁ。オレもそっちでくるかなと・・・結構、熱を入れてたんだな(笑)」笹瀬推しとはこの事だろう。
「普段からこういう職場なんですか?」俺の横を歩いているヨン・ノレイが質問してきた。
「基本的には?でも課長がふざけてる訳じゃないぞ。ただ本題だけ言っても、上司から部下に話が流れるだけでつまらないだろ?まずは世間話の一つでもして全員に発言しやすい環境を作るのも大事って事」
「はぁ~あれが計算の上なんですか?すごいですね」ヨン・ノレイが関心している。
「真面目か!?課長もそんなに分析されてるとは思ってないだろうなぁ」先頭の赤髪の男が振り向きながらツッコミを入れてきた。
「フォード君は真面目よ?」俺の左前を歩いている黒い長髪の美人がフォローを挟む。
「こいつはふざけるのが好きなんだけど、それだけじゃ駄目だって分かってるから真面目を装ってるんだよ」
「えっそうなの?」
「・・・・・俺は真面目だよ¿」
「なら真面目エピソードを話してもらおうか」
「あなたは18歳以上ですか? はい・いいえ の所をちゃんと いいえ にしてた」
その場の全員が「・・・・・」
俺は「はい、じゃぁ新人がいるので各班長自己紹介してから戻ってぇ」
「近い順に俺から、No. 6のルート・ビアっス。去年入ったんで一年先輩かなwよろしくっス」金髪短髪のやんちゃ坊主みたいな奴がブースに入って行く。
「私はNo.5のベル・チョテレよ。よろしく」ヨン・ノレイに挨拶した後、俺に耳打ちしてきた「今日の貴方の占いはあの子かしらね?」クスリと笑いながらブースに入って行った。
(何言ってんだか)
「私はNo.4のディフリーフォール・シーと言います。皆さんディーかシーと呼んでますのでそちらで結構です。よろしくお願いします」切れ長の目に眼鏡。正に委員長の風貌の彼女がヨン・ノレイと握手をしてブースに入って行く。
「オレはNo.3を担当しているアレーグ・クワーテ。この仕事が終わったら打ち上げと、歓迎会しようぜw」大きく笑いながら去って行った。
「俺は、崎・クワトロ。No.1の班長だ。今日はフォードの所で面倒見てもらって、明日から他の班を周って行けば良いさ。ヨロシクな」背を向けて手を掲げながら隣のブースに入って行った。
「さっき課長も言っていたけど、フォード山岡です。この仕事はほとんどが管理職なんだけど、補給作業とか艦外作業がある時はちょっと忙しくなるから少しづつ覚えて行って下さい」
「はい、よろしくお願いします」
「それじゃぁ、班の皆を紹介するよ」俺はヨン・ノレイをNo.2のブースに案内した。
ブース内は準備が捗っていた。朝礼前と比べると中心にあった5つの椅子に白いカバーが被せられていた。
俺は班員の一人にそろそろ準備が終わるか確認してから「皆、一旦手を止めて貰っていいかい?」班の全員を集めてヨン・ノレイを紹介した。
「新人のヨン・ノレイさん。今日ウチの班で作業に関わってもらう」
「ヨン・ノレイです。お邪魔にならない様に頑張ります。よろしくお願いします」
頭を下げて、上げる。
「仕事の説明もしないといけないから簡単にメンバーを紹介するよ。左からオペレーターの四川」
「よろしく」ブロンド髪の優等生の様な彼女が軽く手を挙げる。
「俺と一緒に補給船を操縦するテサラ」
「ども」白髪で小柄だけど大人びた女性が表情を変えずに喋った。
「補給船の補助作業員として五ノ前」
「ヨロシク!こう見えて計算が得意だ」ガタイの良い男が腕を前に出して筋肉を見せて、ニカっと笑っている。
「円周率を3.14として半径4cmの円の外周は?」隣の青髪に白い縦線が入った少年が吹っ掛けてきた。
「25.12」サイドチェストをしながら「センチメートル」即答する。
「・・・・・・?・・・・合ってる」
「チティリ、答えを用意してから問題を出せよ。あいつも前回の補給作業から入った新人だから君と同期になるかな?」
「こんちは」手を軽く振って挨拶をする。
「その隣がフォイド。チティリと一緒に護衛ポッドを操作する」右端の班の中では細い男性が会釈した。
「他の班と比べてどこが一番マシだったか後で教えてくれ(笑)」
ヨン・ノレイは驚いた後、困った苦笑いをしている。
「今回の作業内容を説明すると・・・」
俺は軽く紹介してから朝礼での作業の内容を班員に伝え始めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます