第10話 アダルトな一夜②

「おかしいだろ!?」


ゴホッゴホッ。むせてしまった。


「ちくしょうもう一回だ」


ウィーーーーン。


――――――――――――――――――――――――


(今日もBarに人が集まる)

(働いた疲れを…嫌な事を忘れに…自分への褒美に…出会いを求めて…)

(様々な理由で癒されに、今日もBarに人が集まる)



俺は今飲んでいるグラスを持ち、カウンター端にいる女性の所に向かう。

「こんばんわ、お一人ですか?」

「そうですけど?」女性は素っ気ない返事をする。

「ご一緒しても?」

「どうぞ」女性はカウンター席に座るように促す素振りを見せてくれた。

「マスター。こちらの女性に同じ物を」座りながら俺は彼女に新しい飲み物を奢る。

「彼と同じ物をストレートで」彼女が俺のグラスを指さしてマスターに注文した。

グラスの氷がカランと鳴る。

「お強いんですね」

「今日は酔いたい気分なの」彼女がクスリと笑みを浮かべる。

「何か悩み事でも?今宵の話し相手ぐらいにはなりますよ?」

「お仕事は何を?」彼女が頬杖をしてこちらを見てきた。店の光加減もあって妖艶に見える。魅力が凄いのだ。

「簡単に言うと、なんでも屋みたいなものですね。今日は一つ仕事が片付いたので」

【自分への褒美に】と付け加える様に飲みかけのグラスを顔の高さまで持ち上げてニカッと笑って見せる。

「お待たせしました」マスターがウイスキーを彼女の傍に置く。

「お仕事お疲れ様」彼女がグラスを俺に差し出してきた。

「ありがとうございます。あなたの様な素敵な女性に出会えた事に」俺もグラスを差し出して彼女と軽く音を鳴らす。




会話の内容は仕事で起きた事や、友人が催眠術で年寄りの様になった事など。

そんなに時間は経っていないが、会話が弾んで彼女の笑顔が絶えない。


「面白い人ね、今日は楽しかったわ」彼女が席を立ち、去り際に「また会いましょ」と耳元で囁かれた。


ジョリ...



――――――――――――――――――――――――



アナウンス

【ご利用ありがとうございました。アダルトな一夜 short versionは如何でしたか?またのご利用をお待ちしております。】


プシューーーーー




「ショートバージョンはAMBが作動するギリギリで強制終了するようになっているっと」残念でしたと自分に言う様にバースから出て ん~~~。 と伸びをする。

「ポイントは成功として入ってるのか。ふーん・・・・・帰るか」

バーススクエアから居住区へ(ショートバージョンかぁ)


何もよからぬ事を考えてはいないぞ。


頬を撫でながら (ジョリ?)

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