閑話 本当の実力者

ギルドホールの入り口で黒髪の女の子が困ったように悩んでいた。

あの子は3日前にエレメンタルウルフと一緒に現れたという女の子だ!脇にエレメンタルウルフがお座りしててかなりかわいい。


これは声をかけるチャンス!


「あの・・・・どうしたの?」


考えこんでいるのか反応なしなのでもっと声を出して


「あの!!」


「はいっ???」


かなり驚いたのかビクッと飛び上がってこっちを見た。

美人だなー

話を聞くと依頼の受け方がわかんないそうであたしが教えてあげることに。


「フィーナは今日何か受けるの?」


「私?私はこの【ゴブリン討伐 10匹銀貨1枚】を受けるわ」


「なら一緒していい?こういうのは初めてだから先輩の仕事を見てみたいのよ」


「でもあなた昨日登録したのよね?Fじゃこれ受けられないよ?」


「大丈夫あたしCランクだから」


「・・・・・・は?」


「・・・・・・え?」


一緒に依頼を受けることになり街を出て森の入り口で武器を出してもらった所でまたひと悶着。


彼女が出したのは木の棒。


「・・・・・・・・・・」


「・・・・・・・・・・」


「あなた・・・・本当にCランク?なめてるの?」



そうとしか言いようがなかった。


気を取り直して森に入りしばらくあるいているとモンスターと戦っているパーティーが見えた。


「ギンガ!いって!」


レンがそういいながら一番近いゴブリンに木の棒で切りかかり信じられないことが起こった。


切られたゴブリンが爆散したのだ、切られたところを起点に。


あの木の棒怖い。


しかも5分もしないうちに20匹を倒しきってしまう、私には無理だ。


「トビアが毒受けて何回も刺されたんだ、このままだとトビアが・・・・あとアネットが連れてかれちまった、ちくしょう!!」


この手の話はよくあるのだ。

初心者がゴブリンに襲われ男は食料、女は苗床にされる。

そこでまた非現実的な光景が起こった。


「メガヒール」


「「は?」」


回復魔法!え?レンて神の巫女様なの?


「おい小僧連れていかれたってのはどういう事だ?」


あたしたちの混乱などお構いなしにレンは男の子に何があったかを聞き始めている。


レンてば言葉がかなり悪くなってきている。


「は?え?えっといきなりゴブリンに襲われてトビアがやられて混乱してるときにアネットっていう女の子が攫われたんだ・・・・」


「男だろうが!シャキッとしな!!」


レンが男の子に向かい怒り言葉をかけた後ギンガに向き合う。


「ギンガあんたこの森に棲んでたんだろ?連中の住処とか分かるかい?」


このエレメンタルウルフは本当に賢いのだろう。


「ガルゥ」


「よし!おい小僧どもついてこい!」


不思議に思った男の子が聞いていた。


「え?どこにですか?」


その言葉にレンはニコリと微笑んで。


「助けに行くにきまってる」


とても美しい笑顔だった。




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