トライロバイト②
「それで少年、君たちの目的は何かね?」
アオが尋ねる。
「ミツガシラだよ。」
「ふむ、先ほど食したあれのことか。」
「ああ、そうだ。冒険者ギルドの依頼でミツガシラを駆除してるんだ。まぁ、ランクは一番下だけどさ。」
どうやら冒険者ギルドという、組織がこの世界にあるらしい、アオは、聞きなれない冒険者ギルドという言葉に反応し、マグナに詳しい説明を求めた。
冒険者ギルドとは、冒険者たちが集まる組織で、その活動は様々な任務や依頼の遂行により行われている。
これにはモンスター討伐、荷物運搬、救出任務などが含まれ、報酬は任務の難易度や重要度により変動するようだ。
ギルドは情報の共有、討伐の依頼を繋げるなど、冒険者たちの活動を支える重要な役割を果たしてる。
また、ギルドの存在により冒険者たちはある程度の規範を持つことが求められ、無法者への変貌を抑制しているようだ。
「本来こんなミツガシラの駆除なんて依頼でないんだぜ。」
「それはどういうことかな?」
アオがマグナに尋ねた。
「最近おかしいんだ。ミツガシラは本来、数が多くない甲虫だけど、何か異常が起きてるのか、異様に増えているんだよ。」
「ミツガシラは仲間を食べる習性があるから、そんなに数は増えないはずなんだけど。」
ヴァレリアが補足する。
「それで、ギルドの依頼をこなすために、夜の森にいるということか。」
「ミツガシラは夜寝てるから。見つけさえすれば駆除するのも簡単だからね。」
ミツガシラという甲虫の独特の生態についての情報が、彼らの行動を理解する手掛かりとなった。
昼行性の生物であるミツガシラは、昼間の時間帯には活発に動き回るが、夜が訪れるとその活動性が鈍くなる特性を持つ。
そして、これこそがマグナたちが夜間に森へ向かう理由であった。
彼らはミツガシラの活動性が鈍くなる時間帯を利用し、それに合わせて行動を進めていたのだ。
「ほんと、丁度よかったんです。私攻撃系の魔法とか使えないから。モンスターとかまだ怖いですし。」
ユリカが恥ずかしそうに言った。
「何言っているのよ。ユリカの防衛魔法がなかったら、モンスターとも戦えないのよ。」
「どっかの爆破バカと違ってユリカは有能なんだから、もっと自信もちなさい。」
「あっ、ひでぇ、ヴァレリア俺のこといっているだろ。」
「少年。私も同行してもよろしいかな?」
アオはおそらく、この異変が自分の目的と関係していると思い、マグナに動向を願い出た。
「えっ!! それは勘弁だぜ。おじさん森の中を動き回れる恰好してないもんな。俺たちも生活かかってるからさ。ちょっとここで待っていてよ。」
だが、マグナはアオのフォーマルなスーツ姿に怪訝な表情を見せて、アオのお願いを断った。
そしてマグナは立ち上がり、ざっと両手でズボンの埃をはらう仕草を見せた。
彼の動作に続き、ユリカとヴァレリアも立ち上がる。
「じゃあちょっと行ってくるからさ。」
そう言って、マグナ達3人は夜の森へと消えていった。
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