怪盗Mのリベンジ・マッチ
再び予告状編
「拝啓 町田元気殿。先日はおいしいプロテインをどうもありがとう。宝石を盗み出せなかったことは残念だったが、かわりに私の筋肉が成長することができたこと感謝申し上げる。今回貴殿に手紙を差し出したことは他でもない。本日、町田探偵事務所にあるプロテインを全ていただきに参上する。どんな対策をしていても、私が華麗に盗み出して見せよう。先日の宝石に対するリベンジ・マッチだと思ってくれたまえ タンパク質を込めて、怪盗M」
雄三警部が怪盗Mからの予告状を読み上げる。
それを無言のまま、町田探偵が机の上に置かれた手紙を見つめながら聞いていた。
ここは町田探偵事務所。テーブルを挟んでソファが二脚置かれていて、一方に町田探偵が。反対側には雄三警部が座っていた。
「突然お呼びしてすみません、雄三警部」
萌花ちゃんがコーヒーを持ってくる。雄三警部は「ありがとう」と、ゆっくりとコーヒーを口につける。
「まさか今度はうちに予告状が届くなんてな」
町田探偵がそう言って予告状を手に取り、丁寧に折りたたむと封筒に入れた。萌花ちゃんは苦笑いしながら、町田探偵の前にもコーヒーを置いた。
「……しかも盗み出すのはプロテインですって。別に金目のものだけを奪うわけではないんですね、怪盗Mって」
神出鬼没、狙われたら最後。彼に盗めないものは何もないといわれている魔法使いのような怪盗、それが怪盗Mである。幸いにも前回、美術館での攻防は町田探偵に軍配が上がったものの、次も同じように防げるかどうかは分からない。
もっというと、前回は美術館オーナーであった露狩さんの自作自演だったということもある。怪盗Mの名を語った予告状を自前で用意して、雄三警部や町田探偵を呼び集めたのだった。そんな中、本当に怪盗Mがやってきて、町田探偵が準備しておいた
それが今回、怪盗M本人から直接予告状が届いたのだ。町田探偵と萌花ちゃんは慌てて雄三警部と連絡を取り、来てもらったのだった。
「うーん、本日って……曖昧だし、また急だなぁ」
雄三警部が「今から手配して……警官たちが間に合うかどうか……」と、頭を掻く。
「それな。今日手紙をよこして、今日いただきに参りますってあんまりだよな。せめて1週間後とかにしてくれると、こっちも準備しようがあるんだけど」
「何言ってるんですか町田さん。1週間もあったら絶対忘れて、普通に過ごしていると思いますよ!」
町田探偵と萌花ちゃんの
そして、ぽん! と手を叩くと、突然立ち上がった。
「
「ちょっと
決め台詞を雄三警部に取られた町田探偵も立ち上がる。
お、今回ちょっと話がスムーズに進むんじゃないの? と萌花ちゃんはちょっとだけこの後の展開が楽しみになるのだった。(訳の分からないセリフには一切ツッコまない萌花ちゃんなのであった。)
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