第1話 氷晶核
少女は言の葉を夜風に
「地に
年の頃は、十五、六だろうか。無数の
大地の
「さて、なんのことでしょう?」
「雨だ。――やはり、行かれるか」
「ねぇ、銀の
少女の隣には一体の竜がいた。
星空に黒々と巨体を浮かべ星明かりを
竜と少女は何かを待つように、ただ静かに空に
「
「我らにとっては、あなたは唯一で、もう
謎々の続きかと思われた少女の奇妙な言葉に、竜は重々しくもなめらかな声で答えた。彼らには耳慣れたやり取りのようだ。
少女はくるりと身を
「冷たい」
「
息を吸えば肺が冷え、手を当てれば心臓の鼓動が感じられる。なるほど、肉体は今ここにあると接触――衝突と言い換えてもいい――は教えてくれる。
少女はしばし思索に
(存在するは
ただの仮定しかし、と
「そんな顔しないで。ふふ、銀の
「ふぅ、あまり不吉な言葉を使ってくれるな」
竜は
世界に奇跡を与えた女神は消え果てた。しかしなお不完全に奇跡は残り、
楕円軌道を永久に巡る天空のティーポットのように。
この
それは世界を確実に終末の
先刻より何かを期待するように地上へ目と向けていた少女が、嬉しげな声をあげた。
「来た……っ!」
不意に地上から立ち上がった金の光が、
「かえるの、雲のように雨のように」
月光色の髪の少女は、夜を貫く
目に見えぬほどの
小さな
「
少女を見送り終えた竜は翼を黒々と広げた。巨大な
星空を模したかのような王都へと言葉を落として。
「――王よ、
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