最悪
適当に体と頭を洗った私は、今、湯船に浸かった。
私は体と頭を洗っている間、何も喋らずにいた。
だから、今も繋がってる通話の向こうで、心悠莉が何かを言ってたり、ナニかをしてたりしても、私は知らない。
あ、シャワーの音で、心悠莉の声が聞こえないかもってことになってるんだから、シャワーは出しとくか。……もったいないけど、そうしないと、心悠莉がうざいし。……いつもうざいけど。
はぁ。……今日は、一段と疲れたな。……主に心悠莉のせいで。
いつもなら直ぐに上がるんだけど、お風呂を上がったら、また、心悠莉と通話をさせられそうだから、もう少し、お風呂に入ってよ。
……とはいえ、暇だし、スマホでも弄ってようかな。一応、通話をしながらでも、触れるし。……これも、心悠莉にバレたらうるさそうだけど、バレなきゃいいだけだし。
そう思って、私はスマホを弄り始めた。
……そろそろ、上がろっかな。
のぼせそうだし。
そう思って、その辺にスマホを置いて、お風呂から上がろうとした時、スマホが滑って、下に落ちてしまった。
あぁ、もう。めんどくさいな。
この程度で壊れないことは、もう何度も落としちゃってて、分かってるから、特に動揺することなく、スマホを拾った。
すると、指が当たっていたのか、何故か、通話中の心悠莉に向けて、カメラを付けてしまった。
私は直ぐに、カメラの所を、手で押えて、カメラを切った。
……見られて、ない、よね。
不安になってきた私は、心悠莉のミュートを解除して、確かめることにした。
「み、心悠莉? 今、何か見た?」
「ぇっ、ぁ、う、うん。……綺麗、だった、よ?」
最悪、最悪最悪最悪最悪。
しかも、何が綺麗だよクソが。お前に言われたって、嬉しくもなんともないし、むしろ気持ち悪いんだよ。
「……忘れて。……お願いだから、忘れて」
確かに、色々と、お仕置とかふざけた理由で、触られはしたけど、実際に見られるのは、違うだろ。……しかも、今はお風呂に入ってて、全裸の状態なんだから。
……どこまで、見られたんだろ。
気になるけど、それを聞いて、大事なところも見られてたとしたら、もう、立ち直れない。
「切る、から」
想像しただけでも恥ずかしくて、死にそうだったから、私はそう言って、心悠莉との通話を切った。
これで、もし何か言われても、知らない。……ほんとに最悪。
……もう、上がろ。それで、ご飯食べて、テレビでも見て、気を紛らわしてから、今日はさっさと寝よう。
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