本当に、めんどくさい

 馬鹿な心悠莉を押し退けて、家に帰って、私のイライラが落ち着いてきた頃、ソファで適当にスマホを見ながら横になっていると、心悠莉から急に電話が掛かってきた。

 

「何?」


 少し前までだったら、まだイライラしてたから、こんな電話、すぐに切ってただろうけど、イライラが落ち着いてきてたから、私は電話に出て、そう聞いた。


「まだ、お仕置終わってなかったのに、なんで逃げたの」


 逃げるに決まってるだろ。

 悪いことなんてしてないのに、お前なんかに謝らされそうになってるのに、逆になんで逃げないと思ったんだよ。


「もう終わりだから。約束は守ったし」

「…………まぁ、最後にキスもしてくれたし、今回は、許すよ」


 許すよって……なんでお前はそんな上から目線なんだよ。

 ほんとにいちいち腹の立つやつだな。

 

「あっそ。じゃあ、もう切っていい?」

「……もうちょっとだけ、話したい」


 心悠莉のそんな言葉を聞いた私は、上から目線に許すと言われて少しイラついてたのもあって、電話を切った。

 そして、あいつから電話が掛かってくる前みたいに、スマホを弄ろうとすると、また、心悠莉から電話が掛かってきた。


「何?」


 出なくても良かったけど、こいつは今私のことが好きだし、さっきみたいに雑に切られた時の反応が気になったから、電話に出て、そう聞いた。


「なんで、切ったの」

「ごめん。間違えた」


 正直に言っても良かったけど、今のこいつは正直に言うと、またお仕置とかふざけたことを言ってくるかもしれないから、そう言った。


「ほんとに?」

「うん」

「じゃあ、もうちょっとだけ、話しててもいい?」


 すると、性懲りも無く、また、そんなことを聞いてきた。

 だから、その瞬間、私はまた電話を切った。普通に嫌だったから、切ってしまった。


 私はどうせまた、電話が掛かってくるのかと思って、今度はスマホを弄ろうとせず、あいつから電話が来るのを待ってたんだけど、電話は掛かってこなかった。

 掛けてこないのかよ。……いや、別に掛けてきて欲しい訳では無いし、掛けてこないなら掛けてこないで、スマホでも弄ってよ。

 そう思って、スマホを弄ろうとしたところで、今度は家のインターホンが鳴った。


 ……もしかして、心悠莉か?


「はい」

「伶乃、入れて」


 嫌だわ。え、ほんとに嫌だけど。

 せっかく学校も終わって、お仕置とかいうクソみたいなことも終わったのに、なんでこいつを私の家に入れなきゃだめなんだよ。

 ……無視したい。でも、こいつを家の前でずっと立たせるのは、変な噂が立っちゃう。

 あぁぁぁあぁ、ウザイな。


「なんで?」

「伶乃が電話、切るから」


 ほんとに、ウザイ。

 電話を切るからって、わざわざ私の家まで来るなよ。

 家が隣同士とはいえ、普通は来ないだろ。


「もう切らないから。だから、帰れ」

「……ほんとに? また嘘だったら、また、お仕置するからね?」

「あー、はいはい。もう切らないって」


 そう言うと、心悠莉は納得たのか、家に帰ってくれた。

 はぁ、本当に、めんどくさい。

 惚れ薬の効果が切れた時、絶対、死にたいと思うほど、後悔させてやる。……流石に死なせはしないけどさ。


 そう思いながら、インターホンから離れて、ソファに横になった。

 すると、それを見計らっていたかのように、電話が掛かってきた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る