こんな顔、してたんだ

※心悠莉視点


「……ほら、もうこんな時間だから、今日は帰って」


 私に惚れ薬を使ってくれた大好きな伶乃が、抱きついてる私に向かって、そう言ってきた。

 私はそう言われて、伶乃に抱きつきながら、窓の方を見た。

 ……ほんとだ。もう、暗くなってきてる。……もっと、伶乃と居たいけど、帰らないと、だもんね。……まぁ、でも、もう私と伶乃は両思いで、キスまでして、付き合ってるんだから、明日、またイチャイチャしたらいいや。……お互いで写真だって撮りあってるんだから。


「……分かった。今日はもう、帰るね」


 帰ったら、口ではツンツンしてる伶乃とキスをしてる写真……私の宝物を確認しようかな。さっき撮ったはいいけど、まだ、見てなかったから。

 

「……伶乃、さよならのキス、しよ?」


 私はまた勇気を出して、そう言った。

 今日はいっぱい勇気を出してるし、言えた。


「はぁ、はい、これでいい?」


 すると、伶乃は口ではいやそうな言い方だけど、私にキスをしてくれた。

 ……えへへ。幸せ。……少し前まで、惚れ薬が私に使われるか、ドキドキして、心配だったのに、今は違う意味で、ずっとドキドキしてる。


「はい、これでさよなら」

「うん! また明日ね!」

「はいはい」


 そうやって、私は伶乃の家を出た。

 そして、隣の家に入った。私と伶乃の家は隣同士だから。

 家に入って、直ぐに私は自分の部屋に戻って、さっき撮った写真を見た。


 あ、すごい。……伶乃、すごい、幸せそうな顔してる。……あの時は、伶乃の顔を見る余裕なんてなかったけど、こんな顔、してたんだ。


「えへへ」


 私とのキスがそんなに嬉しかったんだと思い、私は思わずそんな笑みが漏れた。

 ホーム画面にしようかな。……あ、でも、知らない人にチラッと見えちゃった時、伶乃のこの顔、私以外に見られるの嫌、だな。

 ハートを付けて、万が一にも間違えて消さないようにして、大事に保存しておこうかな。

 

【明日、学校一緒に行こ。だから、迎えに来て】


 私がそうやって、宝物を見てると、伶乃から、そんなメッセージがきた。

 一緒に登校……久しぶりだなぁ。

 また、伶乃と一緒に学校、行けるんだ。

 私は改めて、伶乃と付き合えたんだと思って、幸せな気持ちになった。

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