短編賞応募作300本読んで、見えた気がすること
前話でお話したように、カクヨムコン8の期間中、私は短編賞参加作を約300本くらい読み、うち約30本くらいにレビューコメントを書きました。
それだけの数を読んでいると「これ良いなあ」「好みとは外れるけど上手いなあ」「ちょっと惜しい感じがするなあ」などと感じる作品にも多々行き当たります。
今回はその話をしようかと思います。
(話の性質上、どうしても上から目線感が出そうな気はしますが、よくよく考えたら本記事、作品タイトルからしてアレですしね……そこは気にせず進めることにします)
【アイデア+演出=良短編】
短編賞応募作300本読んでたどりついた結論が、これです。
「はっとするアイデアに、それを活かすような演出が加われば最強」
読み回っていて、惜しいな……と思った作品は、大抵どちらか片方に寄っていたように思います。
アイデアはいいけど、着想をぽんと出すだけで終わっていたり。
情景や心情の描写は丁寧だけれど、ワンシーン切り取りのような形で話の起伏が乏しかったり。
どちらか片方では、少なくとも短編賞エンタメ部門に向いた話にはならないように感じます(純文学であれば、話の起伏はかならずしも必要ないかもしれませんが……)
なので短編を書く時は、意識して両輪を整えてやると良いものになりやすいのでは、と思っています。
アイデア先行の場合は、そのアイデアを最大限に生かすような場面構成や描写を意識して足したり。
特定場面の演出が描きたい場合は、スパイスになるような細かなアイデアをなにかひとつ加えてみたり。
そうすることで、全体としての完成度が上がると思っています。
【細部を整えればさらに最強】
短編は短いだけに、細かな引っかかりや違和感が致命傷になりやすいようにも思います。
応募作300本読んでみての所感としても、丁寧に粗を取ったものとそうでないものは、読んだ時の「手触り」がなんとなく異なるような気がしました。
筆者の受賞作「笑顔のベリーソース」についても、改稿前のバージョンはだいぶ粗が多いものでした。
改稿を通してそれらを片っ端から除去していったからこそ、受賞につながるまでに完成度を上げられたと思っています。
【どうやって自作の粗を見つけるか】
とはいえ、自作の粗を見つけるのは難しいものです。
自分の書いたものなので「これでいいのだ」補正が働きますし。
ではどうするか。
私の場合は「他人の目に頼る」を選択しました。外部の感想サービス(「笑顔のベリーソース」についてはフィンディルさん https://kakuyomu.jp/users/phindill にお願いしました)を依頼して、徹底的に内容をチェックしていただきました。
外部の目で改稿ポイントを洗い出していただいたことで、結果的に、自分ひとりでは無理だったレベルまで完成度を引き上げることができたと感じています。
信頼できる、かつ自分と相性の良い「外部の目」を見つけるのはなかなか大変なのですが、有益な助言をくださる方を見つけられれば、それは長い宝になると思います。
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