第11話 妻の長期任務 後編

悪は滅びる

で悪同士がぶつかればどうなるだろう

勝ったほうは正義か、それとも極悪か

それでも私は美しさを知っている


「私は今までゴードンジンの秘書として1か月働いてきた。」

Mrルカが、資料を見ながら確認口を開く。

「ゴードンジン、今回のターゲットですね。ゴードンジン社の社長。」

「その通り。あの会社は、この国で一番のギャンブル運営会社だ。そして、お金持ちのVIPだけが入れる闇オークションを開催している。場所は、この町で一番大きいカジノの地下だ。」


一か月秘書として生活してきて分かったことは、ゴードンジンはかなりのクズだ。

金のためなら、部下だろうが、愛人だろうが、家族だろうが売り飛ばす。

経営自体も、客を金づるとしか考えていない経営方針。その上、具体的なことは、秘書や、部下に丸投げ。それでも、部下が着く理由は、業績をしっかり見てて、その評価もしっかりしている。だから、部下も相当の金をもらっている。

他には、毎晩毎晩、女を連れ込んでる。しかもその様子を秘書のアタシに見せてきた。ホントに気持ち悪い。誘われたけど、クール系で行ってたから、うまいこと断れたけど。


「なんですかそれ。やばい奴ですね。」

「君も一歩間違えれば、同類だ。」

あくまで、普通のゴードンジン社の愚痴に聞こえるように、部下いじりを入れてみる。

「勘弁してくださいよ。僕は手を出したりはしませんから。」

ルカは苦笑いしながら、額に手をかざしていた。

彼は、書類の中から、ゴードンジン社数人の顔写真とプロフィール、さらに、カジノの上面図と、会社の勢力図を取り出した。


じゃあ次は僕ですね。

これが、頼まれていた地図と勢力図です。

そこの人たちは、今回接触した人たち。今日のスタッフの配置や、イベント、そして売買される商品のリストなどを聞いてきました。

今回の作戦で先輩は、ゴードンジン社で、闇オークション等の悪事に手を染めていない人たちは殺さないよう指示しましたけど、ゴードンジン社にかかわってる人たちは、全員何かしらにはかかわっていて、闇オークションについては全員が知っています。もし、今回の騒動で誰かが命を落としても問題ないということです。まぁ、この報告は結構前にしましたけど、一応確認もかねて。

そして、少女たちが捕まっている場所、人数も把握済み。退路も罠の設置場所も完ぺきに把握できています。


「報告は以上です。」

「そうか。作戦を変更しよう。もし戦うことになったら容赦なく殺せ。私もそうする。」

「了解。もうすでに退路も確保済みです。依頼者の祭りさんが、うちと連携して大量のトラックを配置して、仲間も何人も到着しています。」

「ルカが調べてくれたおかげで、カジノに出てくる人たち以外は、9割処理済みだ。確認はこんなものだろう。そろそろ移動しよう。」


私たちはカジノに向かうために車に乗って移動を開始していた。

私たちはゴードンジン社の関係者として、潜り込んでいる為、かなりの値段のスポーツカーでカジノに向かう。

「よくこんなの持ってましたね。」

「私の気を引くために、ゴードンジンがプレゼントしてきた。」

「結果、自分の命を脅かすことになるとは。先輩もすごいですよ。」

「何がだ。」

「作戦の最終段階に行くまでに、売買された少女たちの回収、ゴードンジン社にかかわる者の抹殺をする必要があったじゃないですか。当初は3か月かかるって言われてたのに、まだ1か月しかたってませんよ。」

「…待ってくれてる人がいるんだ。」

「柊桜先生ですか?」

「ああ。あいつも私に殺されるターゲットなのに、待っているんだ。私の帰りを。おかしな話だろう?」

「…そうですか。」

ルカは隣でほほ笑んでいた。


私も、この作戦はかなり長期になると踏んでいた。しかし、ミスター柊のことを考えると。早く帰りたいと思うようになった。それもせいなのか原因は不明だが、作戦事態が急ピッチかつ正確に進んだ。3か月分の仕事が1か月になった。

なぜだかは分からないが、こんなに早く動くことができたのは初めてだった。


「ルカ着いたぞ。最後だ。気を引き締めるように。」

「はい。僕は少女たちの回収を。」

「私は社長の暗殺。死ぬなよ。」

「先輩こそ」


私達は、人身売買が行われるオークションが行われるカジノに潜入を開始した。

私はまず受付に声をかける。

「社長の秘書のルーブです。社長はどこに?」

「こんばんわ、ルーブ様。社長は45階のVIPスロットエリアにおいでです。」

このカジノは、ゴードンジン社の所有物で、大きな高層ビルの半分がカジノになっている。全100階のビルであり、それだけカジノとしても成功している。


「失礼、後ろの方は?」

「例のイベントの派遣スタッフ。私が社長に頼まれて手配した。全ての情報を教えてあげて。」

「よろしくお願いします。」

「畏まりました。」

すると受付がこちらをじっと見てきた。

「どうかされましたか?」

「いえ、ルーブ様がドレスを着ているところは初めて見たもので。」

「仕事と言っても、今日ぐらいは楽しませていただきます。私がこうして楽しめるのも、あなた方のおかげです。」

「い、いえ、滅相もございません。」


ルカが警備の人に連れられて行った。

ルカが連れられて行った扉が地下への通路で間違いない。

私はカジノ仕様に、使いにくくなった豪勢な階段で10回まで向かう。

いかにもお金持ちですみたいな人が多い。豪華なドレスを纏った婦人、高そうなスーツを着た男ども。身なりはよくても、情報通りなら全員少女を買っているか関係者のどちらか。カジノゲームもただの暇つぶしとはね。


たった10階でも、警備やスタッフが多かった。

ゴードンジン社の関係者の9割はやったのに、たった1割でもこんなにいるとは。

すると、近くにいた黒服のスタッフがある扉の前を通った時、扉に吸い込まれ、別人が黒服を着て出てきた。

少しずつ、組織の仲間が黒服に化けている。これで脱出時のルートも予定通り確保できるだろう。


10階からは、エレベーターで、40階に上がる。

エレベーターの中にはスタッフ3名と客が2名。カメラがあるため今殺してはいけない。

「ねぇ、あなた。今日はどれを買うの?」

エレベータに乗っているお客の会話が聞こえた。

スタッフしかいないため、普通はこそこそしゃべるはずのオークションの話を大声で話している。

「やはり金髪の女だろう。」

「なに?回収されたやつとまた同じのを買うの?」

「僕の壁に刺さるからね。」

「あら、じゃあ私の髪色はあなたの虜しゃないのね。」

「バカ言わないでくれ。君の髪が世界一さ。道具に対する壁と君に対する愛が一緒なわけないだろ!」

「あなたったら」


殺さねなばなるまい。いつもなら感じない怒りがふつふつと湧いてきた。

私に愛は分からない。それでも美しい心を持った人を知っている。

(決してきれいな手ではないわ。でも、全員助けるって決めたの。)

(愛する人を守ろうとしただけです。)

私が美しい者を守る。この手を汚してでも


40階につくとVIPだけが入れるカジノエリア、45階に行くにはそこから会談で行くしかない。

先ほどの客を先に降ろし、その汚く輝く階に足を運んだ。


地下オークション会場。

「さぁ、お休みの出番だ。」

銃声が鳴り響く。

僕は、地下オークション品控室の隅で、地下オークションのMCである人物を除いたすべての地下スタッフを殺した。

もっとふさわしいところで始末したかったが、防音室はここしかなかった。

なぜなら少女たちのわめく声をお客さん側に聞こえないようにするためだ。つまりここには少女たちを収容する檻がある。


少女たちは次々と殺されていくシーンを見ておびえていた。

信用を勝ち取るのが困難のため、目の前で殺したくなかったのだ。

「みんな、僕は味方だ。助けに来た。今日君たちは自由になる。」

ここにいる少女たちはちょうど100人。これで、ゴードンジン社に商品になった少女をすべて救い出せる。

僕は逃げる計画を皆に話した。

「もうすぐで、助かるけど、僕のことは絶対にしゃべっちゃいけないよ。もう少しの我慢だ。」


それでも、少女たちはおびえていた。そこで祭さんが統率を取っていた時のことを思い出す。

「このなかで、一番年上は誰かな?」

するとみんなは、少し離れたところに一人閉じ込められてる女の子を見た。

「君、名前は?」

「…」

「もしよかったら、教えてほしいな。」

「…みんな信じちゃだめよ。大人は全員信用ならないんだから。」

「そんなことない…とは言えないな。」

その子の黒髪はぼさぼさでとんでもなく汚れていた。背筋も曲がり、檻の隅でうずくまっていた。だが、今までの子と違った点があった。

それは檻に18歳と書かれていた。今までは10歳もいかない少女たちが多く。

一番年齢が上でも10歳までだった。


「大人は信用ならない。あなたも私も両親と変わらない。周りの大人はみんなそう。」

「僕は君たちを助けてほしいという依頼できた。その人も、もとはここで売られた人だ。」

「ならその人も同じよ。自分にされたことと同じことをするんだわ。」

「そんなことはない。依頼人のみんなに対する愛情は本物だ。」

「愛なんてまやかしよ!なんで私がここにいると思う?罰が当たったのよ。」

「どういうこと?」

「…」

それ以降話さなくなった。

これは別のやり方をするしかない。祭さんのコピーではだめだ。


「みんな、必ず僕が必ず助ける。」

全員に向かって僕はしゃべった。

「もう少しの辛抱だ。君達を必ず家族として迎えてくれる人のところまで送り届ける。だけど、その道のりは険しい。今から怖いことが起きる。大きな銃声が響き、血にまみれて、目の前で生きていた命が消える瞬間を見てしまう。大きなショックや、恐怖を感じてしまう子もいるだろう。」

そうすると少女たちは予想通りさらにおびえた。だけど、この怯えがここでは必要だ。

「だけど、それを乗り越えた先に、本当に愛を与えてくれる人が、愛で包んでくれる人が待っている。だから、僕と一緒に頑張ってほしい。僕は君たちの見方だ。」

そういって、持ち歩いていたイチゴの飴を少女たち一人一人に渡していった。

安直かもしれないが、それでもいい。

「君、僕のことを無理に信用する必要はない。でも、君たちを助けるため、僕の尊敬する人が命を懸けて、君たちを守るために動いている。僕の言っていることに偽りはない。君は今、すべてを投げ出そうとしているが、君はいざとなったらこの子たちを守るために一歩を踏み出せる。僕にはわかる。」


「君なら絶対にできる。ここにいる子たちを守るんだ。」

反応はない。僕はゆっくり出口まで歩いた。ここにいるすべての子たちの怯えやすすり声を身にまとうように。僕はこの光景を忘れることはないだろう。


40階VIPカジノフロア

「「先輩、こちら準備が整いました。アナウンスを流します。」」

ルカの決意に満ちたような声が聞こえた。ルカも何かを感じたのだろう。

私と同じ何かを

「了解」

「「皆様お待たせしました。スペシャルイベントを行います。」」

アナウンスが流れた瞬間、ビル全体の人が動いた。

客が全員動き出した。

私はそれに逆らうように階段を上がる。

ちょうど45回で、社長のゴードンジンにあった。


「おっおと、ルーブ君じゃないか。」

金ぴかの趣味の悪いスーツを着ただるま見ないなやつ、それがゴードンジン。

「今日のオークションは、君が私についてくれるんだったね。下で会う予定だったはずだが」

「日本人にならい、10分前行動を心がけていますので。」

「なんと仕事が早い!ぐふふ、私もいい秘書を持った。あとは、夜も私に捧げてくれれば文句ないのだが。」

まずは部屋に誘導

「我々も地下に行こうじゃないか。」

「そのことですが社長。なぜ私が今まで、社長がおほめになった美貌のすべてをお店にならなかったと思います?」

「ほう、なぜだね?」


私は、ゴムは取り、わざとらしく髪をなびかせた。

そして胸元伸び端を一つなはずす。

「いつも社長の隣には誰かいました。私は二人になりたいのです。」

体を密着させ、耳元でささやく。

「し、しかし、私が行かんとオークションは始まらん。」

「VIPフロアには多くのお客様がいます。エレベータも全員を地下に移動させるのも時間がかかります。ご心配はありません。」

「仕方ないのぅ。そこまで言うならこちらに来なさい。」


そういうと50回まで階段で上がる。そこには赤色のひときわ目立つ扉があった。

部屋に入ると大きなベットが一つあった。

「ここは防音だから、望み通り、2人だけの空間だ。」

そんなことを言ってる間に、端末で、100階から51階まで人がいないことを確認。

「素敵です。」

ここから、動けなくしよう。ここまで欲が出ていると簡単だ。

もうすでにゴードンジンはスーツを脱いでいた。

そこに迫り、胸をポンと押すと仰向けで倒れる。

腰部分にまたがりめいいっぱいの笑顔をする。

「では社長。お楽しみを」

そういって、頭を打ちぬいた。


頭に穴が開くと、ナイフを取りだし、首を斬りつける。心臓にも一発お見舞いした。

これでチェックメイト。

さあ、計画が動き出した。

「ルカ、準備完了。」

「「了解」」

完全に死んでいることを確認。

「警察潜入犯は5分後にカジノ前に到着するように。少女達を速やかに匿い、残り全員で出口をふさぎなさい。」


私は、部屋を出る。防音だったため、もちろん外に銃声は聞こえていない。

50回から45階までのフロアは会談でしか移動手段がないため、50回からすべてが見える。のんきに歩いているスタッフ全員の頭を最速で駆け抜けながら打ち抜いていく。

もちろん銃声が聞こえる為、客が騒ぎ出した。

客は全員エレベーター前におり、我先にと逃げる為、エレベーター前がカオスなことになっていた。

「階段を使えば少しは逃げれたかもしれないのに、まぁ、誰一人逃がしはしない。」

右手に銃、左手にナイフをもって、群がっている客の中に飛び込んだ。


地下

「MC様、秘書のルーブ様が、先にオークションを始めているようにと。」

「しかし、まだ、お客様全員は集まっていません。」

「社長命令です。」

「そうですか。社長命令なら仕方ありませんね。」

もうすでに30回までのすべての客が入っていることを確認。

30階の階段は、仲間がすべてふさぎ、撤退。

それより上の人は全て先輩が殺している。


MCがステージに上がった。

「皆様大変お待たせしました!これより、奴隷オークションを開始します。」

客からは歓声が上がる。

MCの長い前説が終わった。

「では早速!10番までの商品をお見せしましょう。」

そういうと、僕は10と名札のついた少女たちが入った檻と共にステージに上がった。

僕はMCに銃を突き付けた。

すると一斉に、客を取り囲んでいた黒服が銃を客に突き付ける。

そう、すでに地下の黒服は全員仲間が化けており、ハチの巣状態だ。

「これは一体どういうことですか?!」

MCが叫ぶ。

「こういうことさ」

僕がMCに向けて引き金を下ろした。

MCが倒れると同時に仲間たちによる一斉射撃が始まる。

中には対抗する者もいたがあっけなく死んでいった。


僕は少女たちを檻から出す。通り道が袖から部隊に上がり、出口に向かうしかないので、みんなステージに上がってから、すっかりおびえてしまった。

まだ、2割ほど生きている。目の前で人が死んでいるのだ。動けなくて当然だ。

僕は一人の少女の手を両手でつつむ。

「みんな、怖いかもしれない、でも、あの出口から飛び出れば自由はすぐそこだ。」

手を握っているこの目を真っすぐ見つめる。

「絶対に僕が守る。」


それでも、まだおびえている子がいた。

この子たちは純粋で、勇気が出た子が、怯えている子の手をつかんだり、慰めたりしている。

しかし、まだ動けそうもない。

すると、突然大声が響いた。

「みんな逃げて!」

あの猫背の子だった。

「その人を信じて!逃げるの!みんなで自由になるの!私が絶対守るから!」

するとみんなが動きだした。


地下から全員出て、仲間が、残りの黒服と打ち合いを始めた。

数人が、壁になって少女達の道となり、警察に化けた仲間が突撃して、加勢に入った。

猫背も子も頑張ってみんなを誘導していた。

しかし、警察官の仲間が保護しようとすると抵抗し始めた。

「どうしたんだい?君も逃げないと。」

「触らないで!わたくしには義務がある!この子たちを守る義務がある!全員を助けれるのをこの目で確認できるまで、ここから一歩も外には出れませんわ!」

そういって最後尾のこのところまでふらふらの足で走っていき、身を挺して誘導し始めた。

「君は強い子だな。」

思わず感心してしまった。

「ルカさん!手を貸してください。」

「ああ!、こういうのは専門外なんだけどな。」


扉がバン!と勢い良く開く。

私が扉をけ破った。

30階フロアに出る。出口の状況が分かる10回まで走る抜けながら黒服を撃ち続ける。

一人ずつ殺しはせず10階を急いだ。

ちょうど出口がふさがれた所を確認した。

「少し遅いんじゃないか!」

ルカだけが出口付近にバリケードを作って交戦していた。

「先輩!」

私はシャンデリアに飛び移り、階段の手すりを滑って20秒でルカの元までたどり着く。

「そのドレスだと、さっきの先輩、赤い流星みたいですごくきれいでしたね。」

「無駄口叩くな。舌を噛むぞ。それに、扉を閉めるのが少し遅いんじゃないか?私ならもっと早かったぞ。」

「勘弁してくださいよ。僕は戦闘は専門外ですよ。」

「しのごの言うな。」

「スタッフたちに加勢に入ってもらえばいいのに!」

「100人の少女をかくまう場所が必要だった。それに、私が殺したほうが早い。」


私はルカの目を見た。

「それに今回は気が変わるだろう?」

ルカは少し驚いていたが、すぐに目の色が変わった。

「…はい」

二人で一斉に飛び出し、30回までの黒服をかたずけ始めた。

血が飛び散り、そこまであった命が一斉に消えていく。

ルカも銃だけではなく、よっぽど怒っていたのか、タックルや蹴りをおみまいしていた。

しばらくして銃声が鳴りやんだ。

「片付きましたかね?立ち去りましょう。」

そういってルカが、扉を開けるよう指示する。

私も周りを見渡し、後ろを振り返る。

「うぅ、ただで返すと思うな!」

まだ息をしていた黒服がはいつくばいりながら弱弱しい力でトリガーを引いた。


バンッ!


日本 柊の家

夜、リビングでお茶を飲んで休んでいると携帯が鳴った。

ヴェルカからだった。

「もしもし?」

「…も、もしもし」

少し疲れたような声がした。

「ヴェルカさん?もう任務は終わったの?」

「あぁ」

僕は少し身構えたが、受け答えができていたため少しだけ慎重に話した。

「じゃあ、料理作って待ってるね。何がいい?任務後なら魚料理かな。」

「いや、おなかがすいた。肉料理にしてくれ。」

「分かった。すぐに作るね。」

「待て。すぐに帰れそうもない。」

「え、どうして?」

すると電話口から水の音、子供たちの声、船の音が聞こえた。


「しばらく船旅を楽しむとするよ。」

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