第3話 神の権能

ウェタニウスとドストネウスが降臨した日の夜、ウェタニウスはなにか思い出したかのようにドストネウスを起こした。

「おい、ドストネウス起きろ。」


「ふぁあーあ、なぁんですか?この体になってからすぐ眠くなるんですよ。」


「それはな、俺らの能力を確認したいんだよ。今は親たちも寝てるはずだから今のうちに調べときたいんだ。」


「分かりました、外に出ましょうか。この家の裏側に森があることを先程確認したんでそこに行きましょう。」


「よし、さっさと行くぞ。」

なぜウェタニウスはできるだけ早く自分の能力を確認したいのか。それは、神にはそれぞれ「自分の世界」で使える権能を持っており、ウェタニウスも当然所有している。基本的に「自分の世界」というのは自分が作った空間という解釈となっているため、自分が作った星などがそれに当たる。しかし、いくらウェタニウスは自分が作った星に来たとはいえ、現在引き継いで他の神が管理しているため「自分の世界」というルールに沿っていない可能性があるのだ。もし、沿ってない場合この星の中で「自分の世界」を作る必要がある。しかし、現在のウェタニウスは赤ん坊。相当弱体化している。ウェタニウスもそれはよく分かっており、よくて、数十m範囲だろうと推定していた。それを今から確認するのだ。

「よし、まずは権能が使えるかやって見よう。出来たら、この星全体が「自分の世界」の範囲になるということだな。」


「そうですね、やってみてください。」


「行くぞ。【gezag van god神の権能:fysieke wet manipulatie物理法則操作=Zwaartekracht toename重力増加】……何も変わらないな。」


「はい、なにも起こりませんでした。」


「じゃあ、「自分の世界」を展開して権能を使ってみるぞ。【Implementatie展開Mijn Wereld我が世界】……展開はできたけどかなり狭いな。半径5mくらいか、まあいいや。もう一回権能を使ってみよう。」


「どうぞ、頑張ってください」


「【gezag van god神の権能:fysieke wet manipulatie物理法則操作=Zwaartekracht toename重力増加】……ッ!グゥアア!」


「重いです、ウェタニウス様!」


「【Einde神の gebruik bevoegdheid権能使用終了】!……しっかり使えたな。それにしてもこの体だとキツイな、すんげえ疲れた。」


「もうベッドに行って寝ましょう。」


「そうだな。お休み。」


ーーーーーーーーーーーーーー

「帝立総合災害研究所、災害観測本部」にて、


「緊急!へリッジ=ボーグ大霊峰付近にて大規模な魔素暴走を観測!」


「規模と被害は?」


「規模、ステージ5.5、被害は周囲の森の魔素汚染です!付近に動ける整備士がいるので向かわせます!」


「ステージ5.5のわりに被害がその程度か…そうか!そこ!この情報を各メディアに通告準備!……なにかの前兆なんだろうか…」




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