第2話オルガン歌姫

土日休みのバカレンジャーは、それぞれの家庭に戻る。と、言っても全員独身で1人暮らしだが。

青レンジャーはボクサー。毎朝、ジョギングをしている。

途中、公園できれいなお姉さんが、歌の練習をしているのを先週気付いた。歳は、青レンジャーと同じくらいの20代前半か?

ある日、青レンジャーはそのお姉さんに声をかけた。

「素敵な歌声ですね」

お姉さんは恥ずかしそうに、

「いつもジョギングされているお兄さんですね。ありがとうございます」

2人はベンチに座り、少し話した。

そして、青レンジャーはまたジョギングの続きをした。

それが、日課になった。雨の日もお姉さんは傘をさして歌っている。

それから、1ヶ月たち青レンジャーはお姉さんを食事に誘った。

青レンジャーはバイクにまたがり、後部にお姉さんを乗せて、伊勢志摩スカイラインを走り、刺し身を食べに向かった。

実はこのお姉さんは、波風商社の怪人、オルガン歌姫だったのだ。

オルガン歌姫は青レンジャーがバイクを操作している時に歌い出し、青レンジャーを操った。

青レンジャーは猛スピードで走行した。

すると、


『そこのバイクの方、左側に停車しなさい』


パトカーに捕まったのだ。バイクからは、オイルが漏れていた。これも、オルガン歌姫の仕業である。


「お兄さん、飛ばしてたね。ここの制限速度60キロだよ。20キロオーバーしてるよ!女の子載せてるから、気持ちが高ぶるのは分かるけどな」

「すんません」

「免許証見せて」

「自宅に忘れました」

「名前は?」

「青レンジャーです」

「え?え?アオ・レンジャーさん?」

「いえいえ、青レンジャーです」 

「合ってるじゃないか!で、職業は?」

「ダメ大人戦隊です」 

「は?」 

「じゃ、じゃあボクサーです」

「はい、ボクサーね。ちょっと、呼気検査するから、パトカー乗って」

「はい」

青レンジャーと警官がパトカーに乗り込むと、女の子はバイクにまたがり猛スピードで走った。

「おまわりさん、あれ、僕のバイクなんです。追いかけて下さい!」

「よっしゃ」

パトカーはバイクを追跡した。

またがっているのは、女の子では無かった。

「あっ、オルガン歌姫だ!」

「田辺警部補、この先工事現場ですよ。まずいですよ、追跡は」

「分かった。ゆっくり走れ」

15分後、バイクに追い付いた。

オルガン歌姫はブレーキが効かないバイクにまたがり、10トンダンプに突っ込み即死した。

警官が死体に近寄ると、死体は泡の様に消えていった。

「これは、一体?」

「波風商社の怪人ですよ」

「君は?」

「伝馬博士の作った、超ダメ大人戦隊・バカレンジャーです」

「あ、あの伝馬博士の」

「おまわりさん知ってるの?」

「伝馬博士はもともと、法医学者だったんだ。しかし、突然、6000年の結界が破られる日が近い!と、言って新しい研究を始めたんだ。よし、君を自宅まで送ってやる」

「パトカーで?」

「いや、署に停めてある私の車で。夜勤明けなんだ。24時間勤務。」

「ありがとうございます」

「頑張ってくれよ!青レンジャーさん」


三重県警の田辺警部補は、愛知県警の黒井川警部の話しをしながら、秘密基地まで送ってくれた。

秘密基地には、看板で「秘密基地」と書いてあるので分かり易い。

それからと言うもの、青レンジャーはバイクにまたがるのは、採石場と決めた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る