第3話


 恋と戦争は手段を選ばない。


「姫路さーん!」


 待っているだけじゃ何も手に入らない。先手必勝で押せや進めやと突き進むんだ。……それが暴論と分かっていても。


「今日、一緒に!」


「悪いのだけど」


 元気いっぱいの名前も知らない男の子の言葉を遮ったのは、呼ばれた私。ばつが悪そうで、それでいて悲しみに満ちた顔で、私は言う。


「私たち、別れましょう」


「へ……」


「一晩考えたのだけど、やっぱり違うと思うの」


「そ、いや、え!?」


「聞こえているかしら」


「……な、なんで……」


 絞り出した声。

 かぼそくとも声を出せたことが鬱陶しい。出してしまったことを後悔してほしい。


「それが分からないから」


 予想とは、将来どうなるか、前もって見当をつけること。だから続いた彼の言葉は私を失望させる。こうなると確信していることは本当につまらない。


「別れるのよ」

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