【ダンジョン回】執事による、初心者向けダンジョン講座!

「えー今回は、コメントによく届いていた初心者向け講座の動画を見たいというリクエストにお答えして、『執事によるダンジョン初心者講座』をやっていきたいと思います!」


《おー、いいじゃん!》

《タメになるな》

《助かる》

《パチパチパチパチ》

《最近、ダンジョン配信を始めた俺にはタイムリーな動画》

《楽しみですわね!》


 ボクは現在、『始まりのダンジョン』に来ている。初心者向けなので、ソロだ。おっと、さっそくモンスターの気配。


「早速、スライムが現れましたね! スライムは低級モンスターですが、気をつけて下さい。油断すると、口の中に突っ込んで来て、窒息を狙ってきます。これで、毎年何人もの冒険者がスライムを喉に詰まらせて亡くなっているんです……」


《へぇーそうなんだ》

《ただのザコかと……》

《この前それで死んだわ……》

《油断ならねぇな》


「と言う訳で、スライムが口の中に突っ込んで来た場合の対処法を、みなさんに伝授したいと思います。まずはスライムに誘い受けをします」


 ボクはスライムに向かって、口を大きく開ける。するとスライムがチャンスと見て、ボクの口の中に突っ込んできた。


《なにやってんだ!》

《あぶねぇぞ!》

《悲報、執事終わる》

《うわあああああ!》


 スライムが口の中に入った瞬間にボクは、スライムを噛み砕く。


 ──プチュ、モグモグ、ゴクン


「ぷはー! このようにスライムは水分で出来ているので、水分補給にもなります。もし、スライムが口の中に入ったら、ピンチをチャンスに変えてしっかり水分補給をしましょうね!」


《ファッ!?》

《出来るわけねーだろww》

(どんな噛む力してんだww》

《せんせー! 無理でーすww》

《てか飲めるんかい!》

《ワイルドですわぁ……》


「あ、あれ?」


 き、気を取り直して次に行こう。





「見つけたましたよ、スケルトンです! いやぁ、骨が折れましたよ! スケルトンだけに」


 人間の骨だけが活動しているイメージのアンデット系モンスターだ。


《うわぁ、スケルトン苦手なんだよなぁ……》

《ワタクシはリオ様に骨抜きですわ!》

《骨太な敵だよな(スケルトンだけに)》

《こいつ、倒しても復活してくるから嫌い》


「この手のアンデット系モンスターは普通の攻撃で倒しても復活してくるので、火属性で消し炭にするか、弱点の光属性で攻撃するのがオススメです。と言うわけで、今回は光属性の剣を使いたいと思います」


 ボクはポケットから光り輝く剣を取り出す。


「とりあえず“聖剣エクスカリバー”で倒していきますねー!」


 ボクが聖剣を構えると──


『ギャアアアアアアアアア!』

「あっ……」


 スケルトンは聖剣エクスカリバーが帯びる光を見ただけで消滅してしまった。しまった、武器が強すぎた……。


《参考にならねーよww》

《スケルトンに伝説の聖剣使うなww》

《先生ー! 参考になりませーんww》

《骨身にしみますわぁ……》

《ダメだこの執事……早くなんとかしないと……》


 つ、次がある!





「おっ、現れましたね、オーガです」


 強靭きょうじんな肉体を持ち、低級モンスターの中では手強い部類に入る。


《今度こそ頼むぞww》

《オーガちゃん逃げて!w》

《オーガは普通に強いんだよなぁ》


「オーガは鍛えあげられた上半身に対し、貧弱すぎる下半身が弱点となります。なのでこうですね!」


 ボクは足で、オーガの足元を軽くなぎはらい、倒れ様にナイフで首をかききる。


「ね? 案外簡単ですよ!」


《いや、オーガめちゃくちゃ重いしww》

《1tあるんですけどぉ……》

《無理無理ッスー!》

《やばすぎww》

《どんな脚力してんの……》

《ね? じゃねーよww》


 くっ、最後で挽回して見せるぞ!





「最後はオークですね」


 豚が二足歩行したような醜いモンスターだ。女性に目がないことで知られる。


《オークか……》

《ワタクシ、コイツに追い回されてトラウマですわぁ》

《こいつエロいんだよな》

《ブヒッ!》


「女性の方は特に気をつけて下さい。女性を見ると興奮し、襲いかかってきます。怖いですね。まぁ、男性には興奮しないのでそこは──あれ?」


『ブヒヒヒヒヒヒ……』


 オークがボクを見て興奮し始めた。


「なんで!? ボクは男なんだけど!?」


《あーこれはしゃーない》

《リオ君かわいいもん……》

《草生える》

《ワロタwww》

《ワタクシもトリコですわぁ》


「し、仕方ないですね……女性の冒険者の方に向けた対処法に切り替えます……。オークは女性に興奮しすぎると、鼻血を出し過ぎて倒れてしまいます。それを利用しましょう」


 ボクは涙目を浮かべる。


「……ゆ、許してにゃん?」


『ブヒィイイイイン!?』


 オークの鼻から鼻血が噴水のように飛び出し、オークは倒れる。

 

「いかがだったでしょうか? 女性冒険者の方、参考になったのならさいわいです!」


《か、かわいい……》

《恥ずかしくてできませんわww》

《私、女なのにオークに見向きもされなかったんだけど……》

《あー俺も鼻血が止まんねぇ……》

《鼻血ドバドバですよ、神》

《永久保存確定な》


「…………」


 も、もしかしてボクって初心者講座に向いてないのだろうか? 


────しかしなぜかこの回は非常に好評を得て、後にシリーズ化したという……。





《天王寺アリス視点》


 私たちは屋敷でリオの配信を見ていた。


『ゆ、許してにゃん……』


「す、すまない! 鼻血が止まらないからティッシュを持ってきてくれないか、リコ!」

「すいません、お嬢様! 私も止まりませんから無理でふ!」

「──がお?」


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