【ダンジョン回】執事、ドラゴン娘に出会う
「がおっ!」
「うわっ!?」
卵から生まれたのは、赤い体に黄色い目をしたミニドラゴンだった。
「がお?」
ミニドラゴンはこちらを見て、首を傾げている。
「か、かわいい〜!」
あまりの可愛さに思わずボクはミニドラゴンを抱っこする。ずしりと重さを感じて、見た目よりも重量はある感じだ。
「がお……」
ぎゅるるるる。ミニドラゴンのお腹から音が鳴る。
「わわっ、お腹が空いてる!? み、ミルクでいいのかな!? と、とりあえずお嬢様に報告をしないと!」
♢
「め、めちゃくちゃ可愛いじゃないか!」
「うわぁ、可愛いですね、兄さん!」
お嬢様とリコがミニドラゴンを見て、目をキラキラと輝かせている。
「ミルクで問題ないんですよね? お嬢様」
「今、知り合いの上級テイマーから話を聞いた所、人肌に温めたミルクで問題ないそうだよ」
「はい、では……」
ボクはフチのある皿に、温めたミルクを注ぎ、ミニドラゴンの目の前に置く。
「がお?」
ミニドラゴンはくんくんと匂いを嗅いだ後、
「がお♪」
と言ってゴクゴクとミルクを飲みだした。
「兄さん、飲んでますよ!」
「ふぅ、飲んでくれて助かったよ……」
「とりあえずこの子の名前を決めないか? 名前がないと不便だろう?」
「そうですね」
お嬢様の提案により、ミニドラゴンの名前を決めることになった。
むむむ、ドラゴンの名前かぁ……。そうだなぁ……
「
「イヤ……がお!」
「──え?」
今、確かにミニドラゴンから声がしたような……。
「お、おい……まさか、このドラゴン……」
「「「しゃ、喋ったあ!?」」」
♢
「まさかドラゴンが喋るなんてね。私は聞いたことがないな……」
「まさかですね、兄さん」
「うん、びっくりしたよ……」
少し様子を見てみるが、再び喋る様子はない。
「とにかく名前を考えましょう、兄さん」
「そ、そうだね。なんか案がある? リコ」
「そうですね……。イエローアイズ・レッドドラゴンなんてどうでしょうか?」
「うわぁそれいいね、リコ!」
「イヤ……がお!」
「ダメみたいだね、リコ……」
「かっこいいと思ったんですが……」
な、なかなか難しいな。
「お嬢様は何か案がありますか?」
「う〜ん、そうだね……」
お嬢様はあごに手を当てて思案する。
「──ポチでいいんじゃないか?」
「論外……がお!」
♢
結局、三人であーでもない、こーでもないと考えた結果、光を意味する“ルミナ”と言う名前に決定した。
「よろしく、ルミナ!」
「がお♪」
よかった、どうやら気に入ってもらえたみたいだ。
「さて、ルミナの世話はどうする?」
「ボクに育てさせてくれませんか? お嬢様」
「ふむ、リオがいいならそれでいいよ。基本はリオ、そして学園に行ってる間は雇ったテイマーに任せる方針。それでいいかな?」
「はい!」
「兄さん、私も手伝います!」
「私もなにかあったらいつでも言ってくれよ? リオ」
方針は決まった。よし、この子を立派なドラゴンに育ててみせる!
「今日からはボクは執事ではなく、竜騎士と名乗らせてもらいますね、お嬢様!」
「兄さん、かっこいいいです!」
「ダメだ……」
♢
ルミナはぐんぐんと大きくなり、今ではボクの背と同じくらいの大きさだ。
「そろそろダンジョンとか行ってみる?」
「がお!」
そしてついに今日は、初めてルミナと一緒にダンジョンへ行ってみた。すると早速、モンスターが現れる。
「ゴブリン群、およそ30体。やれるかい? ルミナ」
「がお!」
ルミナは息を大きく吸い込み、
『ギャアアアアアアアア』
辺り一帯を焼き尽くす
「この威力……。S級モンスターに匹敵するか、それ以上だよ! すごいよ、ルミナ!」
ボクはルミナをよしよしとなでる。
「がお♪」
ルミナは気持ちよさそうに撫でられている。
♢
ボクとルミナは今、屋敷のお風呂に入っている。ルミナのダンジョンでの汚れを、丁寧に洗ってあげている途中だ。
「ふふっ、気持ちいいかいルミナ?」
「がお! が……お?」
「……ん?」
・・・おや!? ルミナのようすが・・・!
ルミナが発光している。
「うわっ、まぶしっ! え?」
発光し終えるとなんとそこには、燃えるような赤い髪と透き通る黄色い瞳をした美少女がすっ
「え? ルミ……ナ?」
「ご主人様ー!」
「うわあああああああああああああ!?」
裸の美少女がボクに抱きついてきた。
「ルミナだよ! 成長して人型に変化できるようになったの! えへへ、ほめて!」
「えええええええ!?」
するとドアがガラッと開いて──
「リオ、大声がしたがどうした!?」
「兄さん、大丈夫ですか!?」
アリスとリコがなだれ込んできた。
「………………」
「………………」
「………………」
「…………がお?」
沈黙が場を支配する。
「うわあああああ! リオが屋敷に女を連れ込んで裸同士でイチャイチャしてるぅ!?」
「きゃあああああ! 兄さん? 嘘ですよね!?」
2人はボクの裸を見て、指でとっさに自分の目をふさいでいる。あの……指のスキマからこっちを見るのやめてもらっていいですか?
「ご主人様、どうかしたの?」
ルミナが小首を傾げている。
「あわわわわわわ……」
「ご主人……様? まさか、リオ……君はそう言うプレイが……」
「ち、違います!」
「兄さん……? どうして妹プレイじゃないんですか?」
「なんで!?」
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