姉の友人はタワマン在住
あっというまに1週間が過ぎ姉はサンフランシスコへと旅立った。
俺は姉が乗っているであろう飛行機を見上げ続けた。
「姉さん........早く帰ってきてくれ........」
俺は淡い希望を呟いた。だがそんな俺の願いが叶うはずもない。
その後、俺は重い足取りで空港を出た。
「今日から居候か........辛い」
俺は必要な物を詰め込んだリュックサックを背負いとぼとぼと姉の友人の住むマンションに向かって歩いた。
18歳の男子を家に住まわせるような人だ。
かなりの男好きに違いない........
最悪の場合、野宿も覚悟しなければならないな。
俺は決心を固めた。財布の紐を緩める時がきたのだ!
夜になるまでに護身用のグッズ買っとくか........
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「ここ?」
俺は言葉を失った。
タワマンだ........
普通のマンションではない。
周りのビルより1周りも2周りも大きな建物が俺の眼前に聳え立っていた。
「姉さんの友達って........何者........」
「さぁて何者でしょーか!」
突然肩を誰かに掴まれ俺は飛び上がる。
「うっわーっっっ!?!?出たー!!!」
「ちょっと何が出たー!よ!お化けみたいに言わないでくれるかな!?」
俺は飛び退き人であることを確認する。スーツを着た女の人だった。仕事帰りなのだろう。
「すみません。急に肩掴まれたんで反射的に........」
「普通の人は反射的に、出たー!とは叫ばないでしょ........今、真昼間よ!?」
「一理ある........」
「一理どころじゃないし........」
「ですかね........?」
「そうだよ。ホント全然変わってないね」
女の人はクスっと笑った。
「えっと??お会いした事ありましたっけ?」
俺は首を傾げた。
「私が
咲本さんは茶色の髪の毛を優雅に揺らした。
「あぁ!アナタが!」
この女性が姉の友人であり今日から俺を住まわせてくれるという咲本さんだったようだ。
「そうだよ!家に遊びに行ったとき何度も会ってるんだから顔ぐらい覚えて!」
「努力します........」
「はぁ........ホントにお姉ちゃんっ子は........」
咲本さんはため息をついた後、俺の頭に優しく手を置いた。
「まぁいいか........今日から半年、ここが君の家だから。よろしくね!」
そう言って俺の髪をわしゃわしゃするとにっこり微笑んだ。
髪を整えながら俺は頭を下げた。
「よろしくお願いします........」
俺は内心、咲本さんの人物像が俺の想像とかなり違っていた事に安心していた。
男好きで男たらしのヤバい人だと思っていたからだ。まぁ姉の友人にそんな人がいないと信じてはいたが........
護身用に買った結束バンドとスタンガンは勿体ないがいつか使う日がくるまでしまっておくか。
俺は咲本さんに連れられ自動ドアを抜けマンションの中に入っていった。
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