姉友~アネトモ~
夢のまた夢
嘘だろ!?姉さんが転勤!?
清々しい朝だ。梅雨入りしてから曇り空しか見ていなかったため久しぶりの青空に俺の心は高揚していた。
小鳥が歌い、花が踊り、太陽は煌めく。
俺はリズミカルに階段を降りた。
ダイニングから香るトーストの匂いに引き寄せられるように俺は席に着いた。
「あ、
「おはよう。姉さん!」
相変わらず姉は美しい。清楚な雰囲気を漂わせる長い黒髪のポニーテール。ぱっちりした二重に綺麗な鼻筋、綺麗な桃色の唇........
芸能人と言ってもいいほどの容姿である。それに........グラビアアイドル並みのスタイル!思春期真っ只中の弟の前だというのにも関わらず薄いタンクトップ一枚で過ごしている。目が釘付けである。
朝から刺激が強すぎるが、これはこれで悪くない。
俺の思春期特有の視線を気にする事もなく姉は皿を並べ朝食を盛り付けていた。
俺は10歳離れた社会人の姉と二人暮らしをしている。両親が10年前に交通事故で二人とも死んだからだ。
そのため姉は俺にとって親のような存在である。
頼りがいがあり、仕事もできる。この世で一番大切な人だ。
親が死んでから10年間、俺は姉にたくさん迷惑をかけた。
少しでも早く姉には苦労の無い幸せな人生を送ってもらいたいものだ。
そのためにも俺が早く自立してお金を稼いで姉を養わなくては........
俺がいろいろと考えているうちに朝食の支度は済んだようで姉は椅子に座った。
「じゃあ、食べよっか。いただきまーす」
「いただきまーす」
俺と姉は手を合わせ食べ始めた。
俺が黙々とトーストをかじり続けていると姉が突然、口を開いた。
「あっ、そうそう。文哉に言ってたっけ?」
「何を?」
「私、来週からサンフランシスコに転勤する事になったんだよね~」
「うへぇー、サンフランシスコっつったらアメリカね.......ふむふむ」
っえ?今、サンフランシスコって言わなかったか?
「え、ちょい待ち!サンフランシスコ!?!?!?」
俺はトーストを吐き出しそうになりながら叫んだ。
「そうそうサンフランシスコ。だから少しの間、日本に帰ってこれないんだよねぇ~」
「な、なんでそんな大事な事、言ってくれなかったんだよ!」
「アッハハ~、言ったと思ってた~。テヘペロ」
姉はペロッと舌を出して頭を掻いた。
うわぁ、可愛い........
————————————じゃなくて........
「そ、それって何か月ぐらい?」
「それが分からないんだなぁ~。でも半年は帰ってこれないと思う」
「・・・・・・・・マジですか........」
清々しい朝は一気にどんよりとした朝に変わった。
俺の心は雨模様である。
「まぁ、そう落ち込まずにさぁ~、私の友達に
「あぁー。なんかいたような~」
姉さんが輝きすぎて他の女子はまともに見てないからイマイチ記憶に残ってないが。
「その子1人暮らしだから頼んでみたの」
「え?何を?」
体に寒気が走った。
「文哉の世話してくれないかって」
おいーーーーーーーーーーーーーー!!!
何してくれてんねんーーーーー!!
「え、えっとそれは流石に迷惑じゃない?」
「それがさー、快諾してくれたんだよね~」
ダメだろ........普通に18歳の少年を家に泊めるような社会人ダメだろ........
「いや~、でも流石に、年上の女の人と一つ屋根の下っていうのは~」
「えー、じゃあ文哉一人で家にいる??」
「無理ですね」
俺は味噌汁をぐびぐびっとすすった。
「ほらー。じゃあ泊めてもらうしかないじゃんー」
「・・・・・・・・」
何も言い返すことができなかった。
姉と一緒にサンフランシスコにつれて行ってもらう事が俺の中では一番良い選択肢だったのだが姉に迷惑をかけたくはないため仕方なく諦めた。
「じゃあ、来週から泊めてもらってね!」
姉は笑顔で皿を持ち上げると台所に向かった。
「来週から
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