#42 前を向いて走る



 冬休みが明けると直ぐに学生課へ行き、教職課程説明会の出席申し込みと2年以降の履修に関して相談した。


 来季以降の時間割が確定していないらしくて、現時点ではまだハッキリとしたことは言えないけど、2年と3年の2年間で教職課程に関しては何とか必要教科を全て取得出来る可能性が残されている様で、そこに期待して予定を組んで効率的に単位を取得することになった。



 目標が定まり、ずっとモヤモヤとしてた気持ちが晴れ、自分の道を進み始めたことで1月2月と日に日にモチベーションが充実して行くのを感じていた。

 

 そして、後期試験を1つも落とすことなく無事に終えて、春休みに入るとバイトに入れるだけ入れさせて貰った。



 3月の下旬。

 配達の帰りに少し寄り道して、母校の中学校へ行ってみた。


 校門の正面に立って、正面の校舎を眺めた。

 風は冷たくて、視界のすみの桜はまだ蕾で開花しておらず、もうすぐ4月なのに、まだ春は感じられない。


 でも、校門に立って校舎を眺めていると、気持ちが奮い立ってくるのを感じる。


 絶対に教員資格を取って、教師になる。

 大学生活の残りの3年間、私はどんなに大変でも頑張る。

 今まで堕落してサボってきたツケをこの3年で清算して、卒業後は胸を張って生きていける様にする為に。

 

 これからは、後ろばかりを見ていないで、前を向いて走ろう。

 のんびり歩かずに、走るんだ。




 2年になると、勉強中心の生活が始まった。

 毎日朝から大学へ行き、ほぼ全ての時間に講義に出て、授業が終わると真っすぐ家に帰って、課題やレポートをこなした。


 バイトは週末だけにして貰った。

 時間を減らしてバイト代も減ったけど、1年の時からバイト代はほとんど貯金してたし、特に困らなかった。


 タイチへ食料品を送るのも続けた。

 タイチに彼女が出来たと聞いて、もう余計なことかと止めることも考えたけど、ソレとコレとは違うと思い、続けることにした。

 罪滅ぼしと応援したい気持ちは、今でもある。

 それが今の自分の素直な気持ちなのだから、そうした。


 


 前期試験も無事に1つも落とすことなく終えて、夏休みに入ると再びバイト漬けの毎日で、相変わらずバイト代はほとんど使わず貯金してたら結構な額が貯まったので、この夏に思い切って車を買うことにした。


 新車でオレンジ色の軽自動車を分割払いで買った。

 お蔭で、ドライブと洗車が新しい趣味になった。




 夏休みが終わり、再び勉強中心の生活が続き、学祭で授業が無い日も家で勉強して、クリスマスも大学の講義に全部出て、冬休みに入ると再びバイトばかりして、気付けばあっという間に年が明けていた。



 教職過程を履修すると決めてから1年が経った。

 我武者羅に走り続けて来たけど、モチベーションも緊張感も途切れることなくやってこれた。


 もう大丈夫。

 『私は、もう一人でも大丈夫』


 そんな自信が持てるようになっていた。



 そして、後期試験も無事に1つも落とすことなく終えて、私は3年に進級した。



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