異世界誘拐事件録 chapter0

第10話 進化

　兵士「構えええ！うてぇえ！」

　バシューン！バシューン！と兵士たちの矢が魔王へと放たれた

　クライス「ボケカスがてめえはぁ！！！」

　クライスは飛び掛かり、剣で魔王の胴体を切り裂こうとするが、魔王はびくともしない

　クライス「なんで傷一つつかねぇんだ」

　ルーシェ「光魔法」

　ルーシェは剣に魔力を込め、剣は白い光に包まれた

　クライス「剣に魔力を込めるのか...やってみるか」

　クライス「火炎魔法」

　クライスの剣は火炎に包まれた

　クライス「これで焼き殺してやるよ、ぶっ殺す」

　クライスはニヤりと微笑んだ

　ルーシェ「いくよ、クライス」

　ルーシェの光、クライスの炎

　クライス「あぁ、行こうか」

　二つの強力な魔法が魔王へと迫る

　魔王「ぐるるるぅ...」

　魔王は唸り声をあげた

　すると魔王はきょろきょろと周囲を見渡し始めた

　そして気づいた、連れ帰ったエルフたちがいないことに

　魔王はドスドスと洞窟の外へと走り始めた

　魔窟　海浜

　嵐の中逃げ走るエルフたちは海浜へとたどり着いた

　やっと助かる...と喜んでいたのもつかの間、魔王が猛スピードで海浜へとやってきた

　エルフ「きゃあああああ！」

　魔王は次々にエルフたちを飲み込んでいく

　クライス「おいよせええ！」

　すぐにクライスとルーシェがたどり着いたが、もう既に魔王は捕まえたエルフたちをたいらげていた。

　ルーシェ「はぁあ！」

　とルーシェは光に包んだ剣を魔王へ振る

　すると、魔王に大きな切り傷がついた

　魔王「うぎゃああああ！！！」と魔王は緑色の血液をドバドバと垂れ流しながら苦しんだ

　クライス「おらああ！」

　ルーシェに続き、クライスも斬撃を飛ばした

　魔王に更なる傷を与え、魔王はその場に倒れた

　クライス「や、やったか...！？」

　すると魔王の身体は石化したように硬直し、灰色へと変色した

　ルーシェ「いえ、まだよ」

　パキパキと魔王の硬直した肉体にヒビが入る

　魔王の肉体から小さな人型の物体が這い出てきた

　身体は白く、やせ細った体形に赤い目玉、にやりと笑うと鋭い牙が見えた

　巨大だった魔王はルーシェたちと同じエルフの身長と同じになった

　クライス「なんだ、魔王からエルフが出てきた！」

　ルーシェ「気を付けて！奴とんでもなく強くなってる...」

　その瞬間、魔王は転移魔法でクライスの目の前へと転移してきた

　クライス「ルーシェ！逃げ！」

　その瞬間クライスの顔面に魔王の小さな拳がメキメキとえぐる

　どしゅーん！とクライスは殴り飛ばされた

　ルーシェ「まずい...！結界魔法！」

　結界で魔王の一撃を防ごうとしたが、結界よりも先に魔王のパンチがルーシェの腹部に直撃した

　ドゴ！とルーシェの鎧を貫通して、腹部に穴を開けた

　ルーシェ「ぐはぁ！」

　腹に穴が開いたルーシェは大量に吐血しながらその場に倒れた

　バン！バン！バン！

　コロウの弾丸が魔王に飛来する

　コロウ「こっちだ！化け物！」

　魔王「えへぇ」

　魔王はにやつき、コロウめがけて奇怪に走り出す

　コロウ「くそ！」

　バン！バン！と銃を放つも傷一つつかない

　コロウ「こうなったら」

　バコーン！

　コロウは銃の先端を持ち、持ち手の部分で迫りくる魔王の頭部を殴った

　魔王「ぐはぁ...」

　魔王はよらつき、緑の血を吐血した

　魔王「えへへ」

　魔王は奇怪にヘラヘラと笑い始めた

　ルーシェ「光魔法！はぁ！」

　突如、転移して剣に魔力を込めたルーシェは魔王の脚に剣を振る

　なんと、魔王の両足を切断することに成功した

　コロウ「やった！」

　だが、ルーシェは既に瀕死だった

　ルーシェ「いったいなぁ...」

　ルーシェは膝をつき、お腹を押さえた