エッセイを読んだ感想文的なモノ

 小説家になろう。

 日本で最も読み手と書き手が集まる小説の投稿サイトだ。


 私は、少し前からそこでエッセイジャンルの作品を読むようになった。

 カクヨムで連載中の作品を小説家になろうへ投稿するにあたって、効率的な投稿方法の研究面を兼ねていたのだ。

 ただし、書き手としての方針で、大変申し訳ないが評価(応援?)やブックマークの機能はほぼ利用しない。


 その理由は私のアカウントの利用の仕方が、書き専であるから。

 いわゆる、「相互」と呼ばれる判定を他者からされることを恐れる点と、それ目的の作者アカウントが営業に来ると困るのだ。


 そんな前提の私(冬蛍)視点で、以下は目に付いたエッセイの感想めいたモノである。


 それは一体誰得なの?


 端的に言えばこれだ。


 小説家になろうにおける☆の扱いで、☆一つを使うユーザーさんへのいろいろな考え方が目に付いた。


 ☆は評価なのか?

 それとも応援なのか?


 ☆一つは高評価なのか?

 それとも低評価なのか?


 悪意のある☆一つの利用について。

 

 書き手への影響。


 読み手への影響。


 書かれ方は様々だが、「要点」と言うか、「論点」と言うかはそのあたりと思えた。


 順に考えてみよう。

 もちろん、これは私(冬蛍)の個人的見解で感想文的なモノであるけれども。


 サイトの仕様の建前は、☆をクリックする場所だと、『応援』となっている。

 しかし、ランキングや作者さん側の視点では、『最終的には、総合評価の数字の一部』となってしまうのが実態ではないか?

 そんな風に思う。

 少なくとも、一作者である私は、そう受け止めてしまう。


 つまり、建前は応援であるが、作者さん側が付けられたそれを受け止める時には作品への評価として受け止める成分が大きくなる(「応援されている」と感じる部分がないわけではないから、そこは誤解のないように願いたい)


 片や、読者さんが☆を付ける時はどうであろうか?


 読んだ作品を、応援したい。


 そんな気持ちでクリックされる方も、もちろんいらっしゃると思う。


 だが、そうではない基準でクリックされる方もまた、存在するであろう。

 具体的には、読んだ作品への面白さを含む採点的な評価での利用の仕方だ。


 これらの実在については、私は自身の執筆活動において、前者が存在しているのをいただけた感想から『有る』と確信しているし、後者は私が一人の読み手でしかなかった時のことを思い返せば、『有る』と確信できる。

 けれど、「では、その割合はどうなの?」と問われると困る。

 参考となる正確なデータは入手しようがないからだ。

 よって、両者が存在することだけしか、確定的なことは言えない。


 ☆は評価なのか?

 それとも応援なのか?


 結論。

 どちらも成立する。

 片方だけではない。




 続いて、高低の話へ移ろう。


 ☆を一つだけ付ける行為に対して、まず、「高評価だ」と主張する方と、「低評価だ」と主張する方が存在する。

 これらの実在の有無に関しては、投稿されている数々のエッセイから論を待たない。


 では、二つの主張が『有る』として内容の精査に入る。


 視点をどこに置くか?


 これで意見が分かれる。

 ここの部分に異論を唱える方はいらっしゃらない前提で話を進めよう。

 また、以降ここでは、便宜上、☆を応援ではなく評価として扱うことをご了承いただきたい。

 なにせ、前提が「高評価なのか? それとも、低評価なのか?」を考えるので。


 高評価と主張する根拠。


 加点である。

 ゼロより増えているから高評価。

 少し主旨から外れるかもしれないが、『☆を付ける読者さんの希少性も加味されている』と思われる。

 要は、「そもそも、☆を付ける読者さんが少ないのだから、加点している時点で高評価だ」と主張したいのだろう。


 低評価と主張する根拠。


 五段階付けられる中での最低値である。

 これは、『☆を付けない』を考慮に入れても下から二番目。

 また、「そもそも☆を付けない読者さんは相手にしていないからカウントしない」という考えもあるのかもしれない。

 実例として、☆一つに対する否定的なエッセイに対して、☆一つが多く付けられたのもある。


 根拠を確認したところで、更に突っ込んで行こう。

 加点であるのは間違いない。

 ゼロよりは高い評価なのも、数字の増減の上では正しい。

 では、☆一つを付ける行為は、「高評価」と言えるだろうか?


 まず、評価を受けた側の作者さん視点の話。

 加点によって、総合評価の数字が増える。

 総合評価の数字が増えた現象に対して、不満はないであろう。

 つまり、その点だけを論ずれば、「増えて嬉しい」になるのだ。

 けれど、そこで終わらない作者さんもいらっしゃる。

 要は、「自身の作品が、どのような評価を受けたのか?」だ。

 そこへ至る作者さんの理由は、内心の問題であろう。

 だから、ここでは理由について考えても意味がない。

 承認欲求からくるモノ、改善点を求める向上心からくるモノ、他にも様々な理由があるであろうから。

 

 ともかく、「自身の作品が、どのような評価を受けたのか?」を気にする作者さんが存在する前提で話を進めよう。


 評価しない。


 数字に見えてこない以上、検証しようがないので諦めてスルー。

 実際にそう考えていることを自覚しているかどうか?

 そこの部分は人それぞれで謎だが、ともかく、カウントはしていないであろう。


 ☆一つ。


 数字として『実感して見える中』では最低値。

 ポジティブに受け止めるなら、『まだまだ改善の余地がある』と、なるかもしれない。

 ネガティブに受け止めるなら、『『百点満点で、アンタの作品は二十点だ!』と突き付けられた』と、なるかもしれない。

 

 ☆二つ以上。


 論点ではないので割愛。


 ☆一つは、「自身の作品が、どのような評価を受けたのか?」を気にする作者さんにとって、「高い」と言える評価ではないのが、ここまでで否定できないのはご理解いただけるのではないだろうか?


 いくら、「☆一つは加点でしかないから高評価。作者さん側はそう受け止めないといけない」と、声高々に主張したところで、「自身の作品が、どのような評価を受けたのか?」を気にする作者さんにとっては、受け入れられないし、何の意味もない。


 では、視点を変えて、☆一つを付ける読者さんについて考えてみよう。

 まず、各々の価値観、判断基準がバラバラで統一されていない。

 この点に異論を唱える方はいらっしゃらない前提で話を進めよう。


 さて、『『☆一つを付ける行為が高評価だ』と、考えていてそれを実践している読者さん』は存在するのだろうか?

 存在の有無を論じるのであれば、『有る』が正しいのかもしれない。

 なにしろ、『無い』を証明することはできないのだから。

 実際に、「☆一つを付ける行為が高評価だ」とエッセイで主張されている方がいらっしゃるのですし、たぶん『有る』のでしょう。

 ただし、そうした主張をされているエッセイの書き手でもあり読み手でもある方ご自身が、高評価の扱いで☆一つを付ける行為をされているのか?

 その部分の検証も、ひょっとしたら必要かもしれませんね。

 私は、今回そこまでは調べていませんけど。

 

 ただ、一作者の立場での所感としては、「居ないんじゃないかな?」や、「仮に居たとしても、ものすごく少ないんじゃないかな?」と、願望込みで考えてしまうけれど。


 前提条件で、『『☆一つを付ける行為が高評価だ』と、考えていてそれを実践している読者さんは存在する』として、その「内面」と言うか、「詳細」を考えてみよう。


 他の作品との比較で、☆を付けようと思った作品の中では下から数えて二割までに入る、あるいは、☆を付けようとは考えない作品よりは上だが、これまでに評価した経験の中で☆二つを贈った作品の中での最下位の作品と比べると劣っている。

 だから、零点より上で二十点以下、つまり、☆一個を贈る。


 そもそも、「加点の時点で高評価」という前提の考えを持つ読者さんなら、おそらく上記のような考えになるのではなかろうか?


 そこに、「☆一つを贈られた側がどう受け止めるか?」の思考はそもそもないのかもしれない。

 仮にあったとしても、「二十点分加点なんだから、嬉しいでしょう?」なのかもしれない。


 善意、厚意、好意のどれか。

 あるいは、全部や一部重複の気持ちからの行為なのだろう。

 しかしながら、「☆一つを贈られた側がどう受け止めるか? 喜ぶ以外の受け止め方をする可能性はどうであろうか?」を深く考えることができない読者さんでもあるのだろう。


 一般に、「百点満点で、アンタの作品は二十点以下だ!」と突き付けられた場合、その結果だけを見て、それが「善意、厚意、好意のどれかから出た行動だ」と、受け止める方は居ないと思われるし、仮に居たとしても、ものすごい少数派であろう。


 私からすると、『『☆一つを付ける行為が高評価だ』と、考えていてそれを実践している読者さん』が本当に存在するのだとしても。

 そうした考えの方は、「不思議な価値観や判断基準の持ち主なのかな?」となる。


 もちろん、個々の読者さんの価値観や判断基準を否定はしません。

 ただ、一作者としては「そう考える」ってだけのお話。


 そもそも、「☆一つが高評価だ」と、考えて☆一つを付ける行為の実践しておられる読者さんの存在自体を、私は疑っていますので。

 一例を挙げると、とある作品への評価で、「☆一つが(『高評価』とは思っていないが、様々な理由から)妥当だ」と、考えて☆一つを付ける読者さんはいらっしゃると思っています。

 

 ☆一つは高評価なのか?

 それとも低評価なのか?

 

 結論。

 評価する側は『高評価』のつもりで☆一つを付ける方が存在するかもしれない。

 けれど、それをどう受け止めるかは評価を受けた書き手側の自由。

 つまり、書き手側から『低評価』と受け止められる可能性がある。

 評価を付けた方の思惑は関係なく、受け止める側の判断が全て。

 受け止める書き手側が不満を感じれば、エッセイでそれを主張することもあるでしょう。

 もちろん、作品に『高評価』のつもりで☆一つを付ける方や、それに賛同する意見をお持ちの方が、エッセイや感想欄で考えを主張する自由もありますね。




 悪意のある☆一つの利用について。


 少なくとも、書き手側が「☆一つの評価をした側に、悪意があるだろう」と判断するケースはある。

 ただし、実際に、☆一つの評価した側に悪意があったのかどうか?

 この点は行った側の真意を確かめる方法がないので、確定させることはたぶんできない。

 悪意がある、あるいは、あったことを自ら宣言される方もいるかもしれないので、ここでは一応『たぶん』と、しておくけれども。




 書き手への影響。


 ☆一つの評価を受けた事実で、モチベーションを下げる書き手は確実に存在する。

 それが少数派なのか多数派なのか?

 割合を証明する手立てはない。

 けれど、☆一つの評価を受けた事実がある書き手に限定して推測するのであれば、モチベーションを下げる書き手が多数派と思われる。

 なぜなら、「それが人の持つ感情では自然だろう」と想像できるから。


 作品を生み出す書き手側のモチベーションを下げることは、読み手側にメリットがないように思うのだが。




 読み手への影響。


 仮に、『☆一つの評価をする行為が『高評価』には当たらない』が共通認識となった場合、『評価をする読み手自体が減る』のを危惧する方がいらっしゃるのかもしれない。

 ただ、この危惧について、証明する方法がないのでは?


 まず、本当に減りますか?

 仮に減るとして、どのくらいの数、あるいは、割合の話でしょう?

 上記の結果の数字が減った場合に、どの程度影響が出るのでしょうか?


 そもそも、評価システムに参加できる権利を持つ読者さんの総数に対して、実際に評価を付ける読者さんは少ない。

 これは、数ある人気作のうちの一作品に対する、ブックマークの数と評価者の数を比較すれば、否定できる方はいらっしゃらないでしょう。

 で、「☆一つの評価を躊躇わせる風潮が蔓延って、その結果、元々少ない中からさらに減ったら困るじゃないか!」と言う主張は、一見正しいように感じる方もいらっしゃるでしょう。


 しかしながら。


 本当にそうなるでしょうか?


 作品を生み出す書き手側のモチベーションを下げることがなければ、生み出される作品数が増える。

 仮に増えなかったとしても、少なくとも、エタる、断筆、作品の削除を含む創作活動からの撤退は減るでしょう。

 私は、「この点に異論を唱える方はいない」と考えます。


 作品数が多くなれば、その中にはいわゆる傑作、人気作、話題作が存在する可能性が上がります。

 傑作、人気作、話題作が増えれば、小説家になろうを利用する方が増えることもあるでしょう。

 要するに、『評価をする読み手自体が減る』のを危惧する方は、結果として『実際に評価を付ける読者さんの増加に繋がる可能性』を考慮していないか、もしくは無視されているのではなかろうか?

 そんな風に思うのです。


 これらは推測、可能性の話ですから、前述の危惧への証明ができないのと同様に、増加や現状維持に繋がる証明なんてできっこありません。

 けれど、証明できない両方を勘案してどちらか一方を選択するのであれば、後者を選ぶのが賢明ではないでしょうか?

 理由は、投稿サイトとは、まず投稿される作品の数が集められないとお話にならないからです。

 後発のサイトが、作者へのメリット提示と、既存のサイトからの人気作の作者の引き抜きを頑張っているのが、その証拠になるとは思われませんか?

 

 


 小説家になろうのエッセイを読んでいて、いろいろ考えてしまいました。 

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