Day22「賑わい」#文披31題
ゲーム機の電源を切り天井に向かって腕を伸ばす。凝り固まった筋がほぐれ、関節がぱきっと音を立てた。思わず熱中してしまい随分遅くなってしまった。途中までは構え構えと喧しかった彼も拗ねてすでに布団の中だ。いい加減俺も寝なければと腰をあげたところで、表からわっと歓声があがった。
「飲み会帰りかな……」
時計の針はすでに天井を回っている。騒ぐには少々非常識時間たが、学生街でもあるのでそういうこともなくはない。そんなことを考えていると、またざわざわとした喧騒が聞こえた。今夜はやけに騒がしい。まさか何かあったのだろうか。外の様子を確認しようと窓の鍵に手を伸ばす。
「駄目だよ」
いつの間にか起き上がっていた彼が俺の背中に乗しかかっていた。背中越しに重なった手が開けようとした鍵を押し戻す。
「夜更かしは程々になさい。ほら、寝るよ」
有無を言わさない足取りで彼が俺の手を引く。うっそりとした猫撫で声はよくない予感を掻き立てる。外ではまた一際と賑々しい歓声が上がっていた。
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